あいさんの時々ブログ

不動産取引と埋蔵文化財について

2021/08/21
 不動産を取引するうえで、取引に重大な影響を及ぼすことがあるのが埋蔵文化財の存在です。
 売主の所有する土地が、文化財保護法に定めにより、対象自治体の埋蔵文化財包蔵地もしくは
埋蔵確認地の場合、その土地の事前調査(試掘)が必要となり、その結果さらに必要であれば
本調査となります。
 試掘は土地にスケルトンといわれる溝を縦横に掘り、埋蔵文化財の確認を行います。
この試掘の結果で埋蔵文化財が確認された場合は、現況全部または一部保存や記録による保存等
の判断があり、それに伴い相当な費用と時間がかかってしまいます。
 わたしもかって文京区本郷の土地でこの経験をしたことがあります。
 3日間の試掘の最終日の午後になり無事に終了という少し前に、一つの親指大の縄文時代前期
のかけら一つが(持ち込まれていないとは思いますが)見つかり、そのため数千万円の発掘費用
と1年以上の期間が費やされました。
 東京都内での埋蔵文化財の発掘の目的の一つが江戸時代のものです。
 なぜかというと江戸時代は火事が多く、逃げるときに茶碗などの陶磁器は土の中に埋めていき
火事が収まると土から掘り出すのですが、戻れない方の茶碗などはそのまま土の中へ残ります。
 かくて埋蔵文化財として一丁上がり(?)になりますが、私疑問を持ちまして東京都の学芸員
に質問させていただきました。
 たとえば当時使われていた5合徳利がありますが、徳利はどこまで埋まっていたら文化財かと
お聞きしたら、江戸時代のものはすべて文化財との答えです。(えー!)
 今日周りの寺院や古民家で普通に使用されている茶碗などの陶磁器も埋めたら埋蔵文化財に
なりますかね。
 本郷で200本ほど発掘された同じような5合徳利を1本記念にくださいと頼んだら、すべては
後世に残すので、1本でもダメだとと言われました。
 それにしても発掘された埋蔵文化財は、どこかの収蔵庫のはるか奥深くに保管されたままに
なりまして、再び「第二の埋蔵文化財」として、いつ日の目を見ることは出来るのでしょうか。