戸建他社で売れないと言われた容積率オーバーの戸建を売却してほしい!(横浜市中区)
ご相談者: | Y.K 様(司法書士法人 様からのご紹介) 神奈川県横浜市 |
4年前に大手不動産会社の仲介で購入した物件を諸事情により売却することに
なりました。
知り合いの不動産会社に売却の相談をしたところ、容積率超過の違反建築物の
ため、売れないと言われてしまいました。
このままでは返済もあるため、困っています。
御社にて売却を手伝っていただけないでしょうか。
状況
・増築未登記部分が3か所ある(未登記のまま)
※増築未登記部分があることにより容積率が超過している
※4年前に売主様が大手不動産会社の仲介で購入した際の
重要事項説明書には増築未登記部分・容積率超過のことが
一切書かれておりませんでした
・室内は売主様が何百万円もかけて大規模にリフォーム済み
・車庫がないため、車の駐車ができない
・前面道路が第三者の所有する私道で取決めにより、
車の侵入ができない(私道は未舗装)
解決策
1. 現地確認と打ち合わせ
ご相談をいただいてすぐに現地でお客様とお会いし、
打ち合わせをしました。
現地は、とてもきれいな状況でリフォーム不要でそのまま住める
くらいでした。
ただ、売主様は知り合いの不動産会社の方に「大手不動産に騙された、
容積率超過・違反建築物で売れない物件」と言われてしまい、ひどく
ご心配されている様子でした。
確かに現地で資料を照らし合わせた結果、売主様がご購入されたときの
重要事項説明書には未登記部分のことも容積率超過のことも一切記載されて
いませんでした。
(大手不動産会社の担当者は間取りも確認していませんでした)
当然、未登記部分や容積率超過のことが記載されていた場合、ほとんどの
金融機関で物件的に住宅ローンを利用できません。
ただ、売主様とお話ししていた際に条件次第では、売主様のお知り合いの方が
購入を検討したいというお話がある旨、お聞きすることができました。
2. 金融機関との協議
前述の通り、容積率超過・未登記部分があることにより、住宅ローンを
組める金融機関が限定されてしまいます。
そのため、売主様の知り合いの購入希望の方とお会いする前にどこの
金融機関であれば、容積率超過でも、未登記部分があっても融資をして
いただけるかを調査しました。
そして、金利優遇もしっかり使える金融機関を探し出すことが
できたのです。
3. 購入希望の方との打ち合わせ
売主様のご紹介で購入希望の方と連絡をとり、現地でお会いさせて
いただくことができました。
私からは、先に物件が抱えるデメリット(容積率超過のため、融資が組み
づらい)、未登記部分があること、私道に車を入れられないことなどを
お伝えしました。
そして、購入希望の方より通常の住宅ローンの金利で融資が利用でき、
住宅ローン控除を受けられるのであれば、購入したい旨のお話をいただく
ことができました。
※今回の物件は木造住宅で築20年超のため、住宅ローン控除を利用する
ためには、耐震基準適合証明書の取得が必要となります
4. 諸条件の調整と住宅ローンの事前審査
購入希望者の方からのご要望を売主様と調整をさせていただきました。
そして、売主様が想定していなかったかかってしまう経費等については、
ご紹介者の司法書士の先生を通じて、売主様ご購入時の大手不動産会社に
費用負担の協議をしていただくことになりました。
その間、物件が特殊だったため、買主様の住宅ローンの事前審査を
行いました。
この時に注意したことは、ご契約前にご説明する重要事項説明書の
特に容積率超過についてと未登記部分の処理についての記載案を一緒に
金融機関の担当者に渡し、その内容にて事前審査をしていただいたことです。
※融資の本審査時に記載の文言によるトラブルを防ぐため
そして、数日後、無事に買主様の融資の事前審査が承認されました。
条件としては、未登記部分を登記できれば、大幅な金利優遇を受けられる
という内容でした。
5. 売主様と私道所有者の訪問
前面道路が私道だったため、契約締結前に売主様と一緒に菓子折りを
持ち、私道所有者の方にご挨拶に伺いました。
理由は、私道所有者の方に何も言わず、契約してしまうと後でトラブルが
起きてしまう場合があるからです。
私道所有者の方はとても感じの良い方で購入希望者の方を
すでにご存じのようでした。
6. 売買契約と融資申込
住宅ローンの事前審査も終わり、私道所有者の方へのご挨拶も終わり、
売買契約を締結していただきました。
そして、すぐに買主様に融資の本審査の申込みをしていただきました。
お引渡しまであまり時間がなかったため、事前に増築未登記部分の登記の
準備と買主様が住宅ローン控除の利用ができるように耐震基準適合証明書の
取得のための段取りを並行して行いました。
7. 建物の表示変更登記・耐震基準適合証明書の取得
買主様の融資が無事に承認され、建物の増築未登記部分の登記、
表示変更登記の手続きを行いました。
そして、住宅ローン控除を使えるようにするため、耐震基準適合証明書の
取得のために協議をしました。
ところが新耐震の建物にもかかわらず、建物が耐震基準を満たしていない
ことが判明。
すぐに耐震補強工事をし、耐震基準適合証明書を発行していただきました。
※耐震基準適合証明書の取得ができると住宅ローン控除を受けられることに
加え、不動産取得税や登録免許税の軽減措置を受けることができます
8. 抵当権抹消の段取りと売主様不在での引渡し
各種条件が成就でき、最終的なお引渡し日の調整を行いました。
ただ、年末ということもり、売主様、買主様のご都合があわず、売主様が
ご不在で残代金・引渡しを行うことに。
売主様は物件購入時の住宅ローンがまだ残っているため、売却代金で
その残債務を一括返済する予定でした。
そのため、売主様に事前に既存借入先金融機関の担当者に連絡を
とってもらい、不在時でも書類の授受ができるように司法書士の先生含め
段取りをしました。
そして、私のほうで売主様より事前に物件の鍵や関係書類をお預かりし、
お引渡しの際にお持ちしました。
お引渡し当日は、買主様、司法書士の先生、買主様の融資利用先の担当者、
私で集合し、書類の署名・押印、鍵・書類のお引渡しを行い、売主様指定口座
への残代金の振込みをし、何のトラブルもなく、お引渡しを終えることが
できました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「売るチカラ」です。
当初、売主様がご相談された不動産会社の方は「売れない物件」だと
言いました。
容積率オーバーは売れないのではなく、銀行の融資がつきづらいので
「売りづらい」というだけなのです。
ただ、その物件に融資ができる金融機関を探してあげることができ、
そのデメリットを予め買主様に告知してあげることができれば、売却できます。
要は、「知っている」か「知らないか」です。
それが「売るチカラ」なのです。
今回は私がその内容を知っていたため、「売れない」と言われた物件を
「売る」ことができました。
そう考えると不動産の売却はどの会社の誰にお願いするかで
売却できる金額が大幅に変わってしまいます。
今回、売主様が4年前に購入した時の大手不動産会社の担当者と
その上席の方とお話しする機会がありましたが、当初より私に対し
上から目線の態度で非常に残念でした。
不動産会社として、一営業マンとして、いろいろ考えさせられる
案件となりました。
そして、私は常に上から目線にならないように、と心に誓いました。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。