土地長年使用していない群馬県にある別荘を売却したい!(群馬県吾妻郡嬬恋村)
ご相談者: | T.K 様(インターネットからのお問い合わせ) 東京都八王子市 |
群馬県嬬恋村に以前購入し、長年使用していない別荘があります。
地元不動産会社にお願いをして4年間販売しておりましたが、全く問い合わせもなく、成約できる感じがしませんでした。
そんな中、息子が御社のホームページの内容を拝見し、売却のお願いしたくご連絡しました。
ただ、物件自体、長期間使用していないため、設備が使えるかわからず、室内には生活できるくらいの残置物が放置されています。
かつ、雨漏りがあり、室内に大量のカビが発生している状況です。
それでも何とか御社にて売却したいのですが、ご対応いただけないでしょうか。
状況
・長年メンテナンスしていないため、設備が使用できるか不明
・室内には生活できるくらいの大量の残置物がある
・雨漏りがしており、未修理(室内に大量にカビが発生)
・築39年が経過
・別荘地内のため、毎年管理費がかかる
解決策
1. 周辺相場のリサーチ
お客様よりご相談をいただき、お会いする前に物件の周辺相場をリサーチしました。
その結果、物件のある嬬恋村周辺では、ほとんど不動産の流通がなく、当初より販売活動の長期化が予想されました。
相場のリサーチについては、以前取引きさせていただいた信頼できる地元不動産会社にも不動産市況の実情をヒアリングしました。
2. お客様との打ち合わせ
物件の相場を把握し、お客様との打ち合わせ資料を作成しました。
そして、後日、八王子にあるお客様のご自宅を訪問し、打ち合わせしました。
その際に物件のある不動産市況の厳しさや査定金額をご報告させていただきました。
併せて具体的に売却活動をするための媒介契約と物件調査に必要な委任状等にご署名いただきました。
当初、媒介金額(売出し価格)は、査定金額より高い売主様の売却希望金額よりスタートすることになりました。
3. 行政機関での物件調査
売主様との面談をした後、実際に私の方で現地に行き、行政機関で物件の調査を実施しました。
調査した結果、物件の排水処理が個別浄化槽(単独)になっており、現在においてこの個別浄化槽(単独)の使用ができず、個別浄化槽(合併)への交換が必要なことがわかりました。(買主様に浄化槽の交換費用がかかります)
また、別荘地によくある「森林法」・「自然公園法」・「景観法」の規制を受けること、それに加え「水源資源保全条例」という条例の規制を受けることもわかりました。
この水源資源保全条例は、不動産を売却する場合、売買契約締結の30日前までに環境省の出先機関に誰にどんな土地を売却する、かを届け出なければならないというもの。
そのため、売主様・監督官庁と協議をし、譲受人未定での当該届出を実施しました。
4. 現地調査と管理会社訪問
行政機関での調査完了後、別荘地の管理会社を訪問し、別荘地内の規約や取決め、どういったときに費用がかかるのかをヒアリングしました。
続いてその足で現地確認を実施。
まずは、土地の境界標があるかを調査。
全ての境界標が設置されていました。
そして、建物全体を見渡すと、雨漏りがしており、未補修のせいか、屋根にシートが被せてありました。
室内に入ると、そこには生活できるくらいの家具や家財道具などの残置物。
雨漏りしている周辺には大量のカビが発生していました。
それでも周辺環境は、管理が行き届いた別荘地だけあって抜群の雰囲気でした。
特にテラスから見渡す雰囲気は格別でした。
5. 販売活動の開始とアクセス数のリサーチ
横浜の会社に戻り、すぐに販売活動を開始。
お客様へのご紹介図面を作成し、各種サイトへの掲載も同時に行いました。
ポイントは、どうしたら「物件の良さ」を伝えられるか。
販売当初は査定金額以上の売主様希望金額から売却をスタートしていたため、なかなかお客様、他社さんからのお問い合わせもありませんでした。
そして、お客様、他社さんからの毎週のアクセス数、お問い合わせ件数を詳細に分析し、徐々に販売価格を市場価格に近付けていきました。
そのため、当初は全くいただけなかったお客様、他社さんからのお問い合わせも販売価格変更とともに増加傾向となっていきました。
※販売当初はインターネットのアクセス数が週10件前後でしたが、成約時には週160件前後となっておりました
6. 現地へのご案内とお申込みの取得
お問い合わせ件数の増加とともに当然に建物の内見数も増加しました。
当社は会社が横浜のため、過去にお取引きさせていただいた信頼できる地元不動産会社の方にご協力いただき、お客様がご安心してご見学いただけるように体万全の体制を整えていました。
ただ、多数のお客様にご見学いただいてはいたものの、多額の雨漏りの補修費用、浄化槽交換費用がかかることを理由になかなか具体的なお話をいただくことができませんでした。
そんな中、販売開始より約1年、インターネットを見たとお問い合わせいただいたお客様に物件の立地や環境、特性をご理解いただき、お申込みをいただくことができました。
7. 売買契約とお引渡し
購入希望者の方よりいただいたお申込みには諸条件があったため、その諸条件について、売主様、買主様間にて再三、再四、協議を重ねた結果、最終的に双方歩み寄りいただき、諸条件について合意いただくことができました。
≪最終的な合意内容≫
・瑕疵担保責任(何か欠陥があっても売主様は補修しないこと)
・残置物はそのままで引渡し(買主様の費用で撤去)
・雨漏り未修理のままで引渡し(買主様の費用で補修)
・浄化槽も交換せずに引渡し(買主様の費用負担で交換)
そして、私の方で売買契約書、重要事項説明書を作成し、ご契約前に売主様、買主様にご郵送しました。
売主様、買主様に売買契約書等の内容をご確認いただいた後、都内にある司法書士事務所にてご契約の締結、代金授受、お引渡しのお手続きを滞りなく、行うことができました。
8. 各種届出の送付
売買契約締結時に売主様、買主様ご署名いただいた管理会社への名義変更届、水源資源保全条例(変更届)、森林法の届出を各関係先に送付をし、全てのお手続きが完了しました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「難あり物件を現状のまま売ること」でした。
今回の物件には、雨漏りを含め複数の難がありました。
その難を売主様が費用を負担して直すのか、もしくは買主様が費用を負担するため、そのことを考慮した売買代金でご契約いただくのかを売主様、買主様にて「納得がいくまで協議」を重ねた結果がご契約という結果になったのだと思います。
「売るためには売主様が修理しなければならない」という営業マンもいるかもしれませんが、どちらの費用負担でどちらが修理をするかは営業マンが決めるのではなく、あくまでお客様同士にて決めていただくことです。
その際の助言をするのが営業マンとなります。
さすがに今回は残置物撤去、雨漏り補修費用、浄化槽交換費用でかなりの金額となってしまいましたが、そのことも全て折込み、ご契約いただけたことが何よりだと思います。
他社さんで4年間売れなかった物件、当社では1年間で結果を出すことができました。
これも地元の信頼できる不動産会社の方のご協力のもとだと思います。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。