マンション住み替えのために自宅マンションを高く売却したい!(東京都杉並区)
ご相談者: | J.K 様(大手生命保険会社のご紹介) 東京都杉並区 |
妻の両親が大阪におり、高齢のため、近々、今の自宅を売却し、大阪の方に引っ越しをする予定です。
自宅には、まだ既存の住宅ローンが残っており、今後の資金のことも考えると、できる限り高い金額で売却したいと考えています。
御社にてお手伝いいただけますでしょうか。
状況
・大規模マンションで管理体制も良好で周囲でも
人気のマンション
・北西角部屋ですが、窓が多く、明るいお部屋
・3LDK+S(納戸)+ルーフバルコニーの
使い勝手の良い間取り
・バルコニー正面からは富士山が遠望可能
・価格帯からも他エリアの新築マンションと
競合してしまう
・お買換え希望ですが、購入先が決まっていない
・既存住宅ローンの残債有り
解決策
1. お客様との詳細打ち合わせ
当初は、ご紹介者様同席のもと、お客様のご希望をお聞きしました。
お住み替えのご事情としては、大阪にお住いの奥様のご両親様がご高齢となり、介助が必要となったためでした。
そのため、お客様は、今のご自宅マンションを売却し、残債を完済し、売却代金の一部をもって大阪のご実家のお近くにマンションを購入するという計画でした。
このとき、お客様のイメージされているご資金計画・時間軸・お住み替え先のマンションの条件もヒアリングさせていただきました。
2. マンションの価格査定と物件調査
お客様のご希望は、「お買換え」のため、まず現在のご自宅がいくらで売却でき、その時にはいくらの物件を購入できるのか、という資金計画を立案しました。
資金計画には現在のご自宅の査定金額(売却目安金額)と既存の残債がポイントとなります。
査定金額については、このマンションが周囲でも群を抜き、グレードが高く、需要も多いため、他のマンションと比較しても成約価格が飛び抜けて高いマンションでした。
東向きタイプで4,500~4,700万円前後、南向きで5,000万円前後でした。
まずは、過去の成約事例を調べ、その成約物件が新築分譲時の価格と比較してどのくらいの割合で成約しているのか調べました。
また、直近で条件が近い、同一マンション内の他のお部屋と比較して、どのくらいが妥当なのか、等を綿密に検証しました。
同時に周辺のマンション相場を調べたところ、他のマンションでは南向きのお部屋で4,500万円前後が主流のエリアでした。
また、価格査定と併せて行政での物件調査も実施。
ポイントは、バルコニーからの眺望が「売り」となるため、バルコニー側正面に何か高い建物の建築予定がないかも、注意しながら調査をしました。
その際にマンションの目の前にマンションが建築できる敷地に築年数が経過した建物が建っているところがあったため、そのお宅を訪問し、建替え予定がないか、についてもヒアリングしました。
3. 査定報告とお住み替えについての打ち合わせ
査定報告書として資料を作成し、その査定金額で売却できた場合に購入できるお住み替え先の物件資料を持ってお客様と打ち合わせをしました。
ポイントは、先に売却してから、住み替え先を購入(先行売却)、するか、または、先に住み替え先を購入してから、自宅を売却(先行購入)にするか、でした。
先行売却は、自宅が高い金額で売却できる可能性はありますが、売却できた段階でお客様の欲しい物件があるかがわからないというリスクがあります。
先行購入は、先に希望通りの物件を購入してしまうため、いつまでに自宅を売却しないといけないという時間的な制約がでてしまいます。
この時間的制約により、あまりに売却期間がなく、急いで売却せざるを得ないこともあります。
先行購入・先行売却は、どちらが正解というのもなく、お客様の生活・お考え・ご資金計画に沿ったかたちの方法をとる必要があります。
その点について、何度もお客様と膝を突き合わせ、打ち合わせを重ねました。
そして、最終的にはお客様と「先にご自宅を売却(先行売却)することで売却金額を最大限高くし、その時の状況を見て、購入するか、賃貸にするかを決めましょう」ということになりました。
4. 売却活動の開始とアクセス数のリサーチ
お客様とお住み替えについての方針がまとまり、売却活動を開始しました。
販売開始の価格は、角部屋で上階もなく、富士山が正面に遠望できるという希少性も考慮し、ここ数年の間の成約事例でも最も高い坪単価で計算したチャレンジ価格(5,000万円中盤)でした。
そして、販売開始後は、毎週のお客様のインターネットアクセス数や不動産会社専用サイトのアクセス数を細かくチェック。
物件のご紹介は、銀行系や電鉄系、デベロッパー系、地元不動産会社など、多岐に様々なご紹介方法にて行いました。
5. お客様のご案内とその結果の検証
販売活動を行っている際に複数のお客様にご見学いただけました。
ご見学いただいた全てのお客様よりご見学結果をヒアリングさせていただきました。
物件価格が5,000万円超だったため、他の新築マンションや新築戸建、他の地域のマンションと競合していました。
また、大規模マンションの特徴である同一マンション内にお住いのお客様も多数ご見学いただけました。
6. 価格変更時期と購入申込の受領
チャレンジ価格より販売を開始し、3ヶ月が経過し、お問い合わせも減少傾向になってきました。
そこで売主様と価格変更についての打ち合わせを開始しました。
売主様とのお話では販売価格を180万円減額し、勝負にでましょう、というかたちでお話がまとまっていました。
売主様からはすぐにでも価格を変更しましょうというお話もいただいたのですが、そのタイミングで2組のお客様より内見依頼をいただいたため、売主様にはその結果を待って価格を変更しましょう、とお話をお返しさせていただきました。
理由は、2組のお客様のうち1組は同一マンション内にお住いのお客様で環境やマンションの良さを予めご存知のお客様であり、その点においても気に入っていただける可能性が高いと予想できたからです。
そして、その週末にご見学いただいたマンション内にお住いのお客様にお部屋を気に入っていただき、購入申込書をいただくことができました。
購入申込書に記載された申込金額は、販売価格から100万円の下がった金額でした。
もともと180万円価格を下げようと思っていたところに、100万円の価格のご相談をいただきました。
これは販売状況から言っても、とても良いお話しでした。
7. 売主様との打ち合わせと売買契約の締結
購入申込書をもって、お客様と打ち合わせをしました。
打ち合わせ内容は、金額やお引渡し時期などの諸条件について。
前述のとおり、価格変更予定だったため、金額については、ご納得いただけ、お引渡し時期については、買主様と少し協議をさせていただきました。
買主様が希望するお引渡しの時期は、契約締結から1ヶ月でした。
ただ、それでは、売主様のお引越し先が決まっていないため、現実的に難しく、買主様には「金額は申込金額でよいので、引渡しは契約締結後2ヶ月にしていただけないか」とお話しさせていただきました。
お住み替えの計画については、私のほうで「お住み替えをあまりに急いで購入しようとすると失敗してしまう可能性あります。また、ご売却とご購入をこのタイミングで同時にするにはリスクが大きい」とお伝えさせていただきました。
お客様のご意見も私と同意見だったため、売却後は賃貸に一時的にお引越しいただくという流れになりました。
後日、買主様からもお引渡し時期について、契約締結後2ヶ月にてお願いします、旨の連絡をいただけました。
そして、契約関係の書類を作成し、無事にご契約を締結いただくことができました。
売主様にご売却いただいた金額は、ここ数年間の間で最も高い坪単価での金額でした。
8. 賃貸物件のご案内と既存融資の完済準備
ご契約後は、お引越し先を決めるためにお客様と再度、賃貸条件について打ち合わせをしました。
そして、広範囲に多数の賃貸物件を収集し、お客様に現地をご見学いただき、最終的に売却のご契約を締結いただいてから1ヶ月で賃貸物件を決めることができました。
残すは、賃貸物件へのお引越し、と既存融資の完済準備です。
マンションを売却し、その売却資金で既存融資を完済する際には事前に融資期間にいつ、いくら完済するか等、金融機関に申請する必要があります。
そして、その申請により、マンション売却時に既存借入の完済の証明書(抵当権の抹消書類)を金融機関よりいただけるのです。
そのため、売主様に既存借入の完済の申請方法をアナウンスし、金融機関の担当者が決まった段階で私よりその担当者にフォローをし、無事に既存融資の完済申請を終えました。
9. 引渡し前の現地確認とお引渡し
売主様の既存借入の完済申請、賃貸住宅へのお引越しも終わり、物件が空家となった段階で買主様に現地をご確認いただきました。
理由は、ご契約時に売主様が買主様にご説明した設備がその通りになっているか確認するためです。
現地確認の当日、買主様と現地に着いたときに、売主様が一生懸命にお部屋をお掃除されていた姿がとても印象的でした。
お部屋自体は、築10年が経過していましたが、新築同様にきれいなお部屋だったのも説明がつきます。
後日、売主様、買主様、司法書士の先生、私と買主様ご指定の金融機関に集合をし、残代金の授受、所有権移転書類等の署名・押印いただき、無事にお引渡しを終えることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「価格を変更する時期」でした。
前述の通り、今回の案件は、売主様と販売価格を変更しましょう、という話がまとまった後に買主様のご見学があり、お申込みをいただくことができました。
一見、普通の流れのように思われますが、もし、買主様がご見学前に販売価格を180万円下げてしまっていたら・・・今回の買主様に限ってはありませんが、他のお客様の場合、180万円変更後の金額よりさらに80万円や100万円下げてほしいというお話がきていたかもしれません。
私は実際にそういった場面を何回も見てきたことがあります。
だから、ポイントになる「価格を変更する時期」。
お問い合わせがない状態が続くのは不安になりますが、ご見学希望のお話がきていたときは、そのお客様のご見学結果を待ってから価格を変更することをお勧めします。
買主様は焦って購入することにいいことはありませんが、それと同様に売主様が焦って金額を変更してしまうこともいいことではありません。
何事も「急いては事を仕損じる」、ですね。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。