戸建相続した千葉県の田舎の空家を売却したい!(千葉県長生郡長生村)
ご相談者: | S.S 様(大手不動産会社のご紹介) 東京都新宿区 |
叔母が亡くなり、千葉県の田舎の不動産を相続しました。
インターネットで調べてみましたが、地域的に不動産が売れるような
感じがしません。
駅からも遠く、建物もボロボロです。
それでも何とか手放したいと思います。
御社にてお手伝いいただけないでしょうか?
状況
・駅からも、バス停からも遠い利便性が低い
・空家の期間が長期間に亘ってしまったため、室内に
カビが大量発生
・築30年弱と老朽化しており、一部床が腐食
・内・外装リフォームが必要
・草が生い茂っており、景観が悪い
・境界が一部不明
・相続登記が未了
解決策
1. お客様との打ち合わせ
まずは、ご紹介者の方とご一緒にお客様のご自宅にて打ち合わせを実施。
その際に予め調べておいた周辺の不動産市況や人口の推移、持ち家率、都市計画等についてお話をさせていただきました。
周辺の不動産市況は、東北の震災以降津波浸水想定区域の人口流出が激しく、不動産の動きはほとんどと言っていいほど、みられませんでした。(不動産の売買がされていませんでした)
売主様からは、売主様が相続されることは決まっているものの、遺産分割協議、相続登記が終わっていない旨のお話をいただきました。
そのため、私より売主様に「相続人間での遺産分割協議が終わらないと売却活動を開始できない」とお伝えしました。
2. 遺産分割協議と媒介契約の締結
お客様との打ち合わせをし、数ヶ月経過したときにお客様より「遺産分割協議が終わった」旨のご連絡をいただきました。
そのため、再度、お客様のご自宅を訪問し、具体的に売却に向けての準備を進めました。
まずは、遺産分割協議書の写しをいただき、専属専任媒介契約書、各種調査のための委任状にご署名いただきました。
遺産分割協議書では、相続人が8名で今回の売却物件も8名での共有となりました。
そして、売却活動を開始するための書類が整いました。
3. 物件調査と販売活動の開始
売主様より正式に売却活動のご依頼をいただき、すぐに市役所や現地の物件調査を行いました。
その際には、私道の一部が旧分譲会社が所有したままになっていたり、境界標が一部紛失していること、下水道利用の際には受益者負担金が発生することが判明しました。
現地では、まず草木が長年の間で成長し、鬱蒼とした外観になっており、景観上も近隣に迷惑をかけている状況でした。
建物に相当な老朽化が見受けられ、玄関周辺には大量のカビが発生し、床の一部は腐食していました。
そして、ひと通り調査が終わったところで近隣住民への訪問をし、「これから、こちらの不動産の売却を開始します。その際にご迷惑をおかけしてしまうかもしれないので、何かあれば、私にすぐにご連絡ください。」とお伝えをし、会社案内をお渡ししました。
4. 草刈りによるイメージアップ
前述した通り、当初、現地には草木が生い茂っており、印象がよくありませんでした。
外観の印象は、ご見学いただくお客様のとても大切な第一印象となるため、除草作業を行いました。
そして、これにより見違えるほど、外観の印象が良くなりました。
5. 多数のお問い合わせと地元不動産とのコラボレーション
販売開始前にはいろいろ調べても、ほとんど不動産の動きがない地域でしたが、実際に販売活動を開始すると多数のお客様よりインターネット経由でお問い合わせをいただくことができました。
ただ、金額が低額だったため、ほとんどと言っていいほど、他社さんからのお問い合わせはありませんでした。
また、お問い合わせいただいた複数のお客様に現地をご見学いただきましたが、ほとんどのお客様が「多額のリフォーム費用がかかる」ということがネックとなり、具体的なお話にはなりませんでした。
なお、お客様のご案内については、当社の会社が横浜で、物件が千葉県と距離があったため、地元の信頼のできる不動産会社とコラボレーションすることにしました。(お問い合わせいただいたお客様の現地のご案内は、地元不動産の方にしていただくことにしました)
6. 購入申込書と諸条件の協議
販売開始より2ヶ月が経過するかしないかのときにお客様より一本のお問い合わせをいただきました。
それは、私が物件調査時に近隣を訪問した際にご挨拶させていただいたお客様でした。(ご自宅は物件の道路向かいの方でした)
お問い合わせいただいた内容は、東京に住んでいる父が高齢になってきたため、私の自宅の近くに呼び寄せたい、ついては、まだ販売中でしたら、内見させていただきたいのですが可能でしょうか、と。
そこで地元不動産会社の方に現地をご案内いただき、そのお客様より購入申込書をいただくことができました。
購入申込書に記載された金額は、販売価格より若干の価格交渉がありました。
売主様には、今までの問い合わせ状況や今回いただいた購入申込書の内容、買主様の購入動機、今回のお客様の希望条件が客観的にみて妥当である等をお伝えしました。
売主様からは、金額や諸条件の調整をすることなく、買主様よりいただいたご希望条件にて進め欲しい、旨のお話をいただきました。
7. 売買契約の締結と相続登記
諸条件がまとまったところで、契約関係の書類を作成し、後日、千葉県の地元不動産会社の会社にて売主様、買主様同席のもと、ご契約を締結いただきました。
このとき、売主様の遺産分割協議は終わっておりましたが、相続登記が未了だったため、ご契約締結後、司法書士の先生にすぐに相続登記に取り掛かっていただくようにお願いをしました。
そして、ご契約から1ヶ月後に相続登記の資料が整い、司法書士の先生にて相続登記の申請をし、登記が完了しました。
8. 残代金・お引渡し
ご契約上の条件が整ったところで、お引渡し時期の調整を行いました。
そして、最後は、地元不動産会社の会社に売主様、買主様、司法書士の先生、私と全員が集合し、書類・鍵一式と残代金の授受、所有権移転登記関係の書類の押印等の手続きを無事に終えることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「見えない不動産需要」でした。
今回の案件は、事前に調査をした際に周辺で不動産の動きがほとんどなかったのにもかかわらず、実際に販売を開始した際には多数のお客様からのお問い合わせをいただくことができました。
※他社さんからのお問い合わせはほとんどありませんでした
そして、その大部分が戸建投資家の方でした。
最終的には買主様ご自身がお使いになるという実需のお客様にご購入いただきましたが、戸建投資家の方からのお問い合わせがこれほどまであるのか、ということには正直、驚かされました。
周辺地域で取引事例がないことが売れないということではなくて、供給がなかったから、取引事例もなかったということです。
供給がないところにはそもそも取引事例はありません。
ただ、取引事例がなくても、そこには見えない不動産需要があるのです。
だから、今回も不動産売買が成立しました。
もう1つ思ったこ、それは販売価格が低額とだったため、他社さんからのお問い合わせがなかったことです。
今回はしっかりとご売却いただくことができましたが、もし、売却を任せた不動産会社が一生懸命売却活動をしていなかったら、他社さんからのお問い合わせもない中で成約できることはない、ということです。
そう考えると不動産の売却は、「どこの会社」の「誰に」任せるか、これがとても重要なポイントとなります。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。