戸建相続した借地権を少しでも高く売却したい!(底地を高く売却するコツ・川崎市川崎区)
ご相談者: | A.M 様(相続コンサルタントのご紹介) 神奈川県川崎市川崎区 |
母が他界し、川崎にある実家を相続しました。
実家は、土地が借地権で何十年も借りています。
借地権の物件は、売却が難しいとお聞きしています。
少しでも高い金額で売却したいのですが、手伝っていただけないでしょうか?
状況
・駅徒歩圏
・土地は借地権
・老朽化した建物がある
・境界標が一部不明
解決策
1. お客様との打ち合わせ・現地調査
ご紹介者である相続コンサルタント同席のもと、現地においてお客様とお会いし、ご売却についてのご意向を伺いました。
そこで私よりお客様に不動産についてのご売却の流れ、相場、注意点をご説明しました。
※借地権付建物の売却については、売却時に土地所有者(地主さん)の承諾が必須となります。
その際に現地調査も実施したところ、一部の境界標がありませんでした。
そして、その場でお客様より正式にご売却をお任せいただけました。
私よりお客様に「売却については、地主さんにひと言お伝えください」とお話させていただきました。
※趣旨:地主さんより借地権を勝手に売り出していると思われないため
2. 行政機関での物件調査
お客様よりご売却のご依頼をいただいき、すぐに行政機関にて物件調査を実施。
行政機関での物件調査においては、特に問題となることはありませんでした。
3. 売却活動の実施
物件調査後、お客様へのご紹介図面を作成し、売却活動を開始しました。
借地権付建物のため、周辺の所有権の物件と比較し、割安感はあるもののお客様、他社さんからのお問い合わせは若干少ない状況でした。
※理由:借地権付建物の場合、新築戸建以外は担保評価の関係で金融機関からの融資が利用しづらいため
4. 購入申込書の取得
インターネットで一般エンドユーザーに、不動産会社専用サイトで他社さんに幅広くご紹介をしていましたが、なかなか具体的なお話をいただくことができませんでした。
お問い合わせが少ない状況でご紹介先を模索しているなか、私のほうで何とか具体的な購入希望者をお探しすることができました。
※販売金額より少し価格のご相談はあったものの、売主様にとっては好条件なお話でした
5. 地主さんとの協議と売買契約
購入希望者との諸条件がまとまったところで、売買契約を締結しました。
その後、売主様とご一緒に地主さんとお会いをし、借地契約について諸条件についての協議を実施。
まずは、買主様がどのような方なのかをご説明し、売主様より「借地について、売却をしたいのでご承諾をお願いします」と地主さんにお伝えしました。
ただ、その際の地主さんの答えは「売却について、承諾しない」という衝撃的なものでした。
6. 地主さんと再三の協議
地主さんからは「売主様が借地人だから借地している。第三者に借地人が変わることは承諾できない」と言われてしまいました。
そのため、地主さんには再三、再四、借地権の譲渡についてお願いをしました。
当初は頑なに拒否され続けましたが、根気よくお願いをしてたところ、少しずつ、お話合いの場をいただくことができるようになりました。
そして、最終的には地主さんから「借地権の譲渡を承諾をするのではなく、土地の所有権(底地)も一緒に買い取ってくれるなら、協力します」旨のお話をいただくことができました。
このとき、地主さんよりご提示いただいた土地の所有権(底地)の金額はかなり高額のものでした。
7. 買主様との底地購入へのお願い・価格調整
地主さんの「底地を一緒に買い取ってほしい」というご意向を売主様、買主様にお伝えし、協議をしました。
「現状のままでは、地主さんからの譲渡承諾の取得が困難であるため、このままでは契約が解除となってしまいます。それであれば、地主さんのご意向も酌んだかたちで組み立てをしてはいかがでしょうか」と私よりご提案させていただきました。
まず、買主様より再度、所有権としての購入金額のご提示をいただきました。
ただ、買主様の購入金額では、地主さんのご希望の金額を捻出することができず、売主様である借地人さんの売却金額が少し下がってしまいました。(買主様よりご提示いただいた所有権金額は、借地と底地の総額のため、地主さんの底地売却金額の要望を考慮すると、比率的に借地人さんの売却金額が下がってしまいます)
売主様としては、多少手取り金額が下がったとしても、子どもにこの煩わしい借地権という不動産を残したくない、この話を進めてほしいというご意向でした。
8. 地主さんと買主様との売買契約・借地権価格減額の覚書の締結
地主さんから買主様が土地所有権(底地)を購入する金額が確定したところで地主さんと買主様との間で売買契約を締結しました。
それと同時に売主様(借地人)の金額に調整が入り、減額となるため、売主様と買主様との間で借地権価格減額についての覚書を締結しました。
9. 確定測量の実施
地主さんと買主様との売買契約締結後、すぐに土地の確定測量に着手しました。
※確定測量とは、道路などの官地と民地など全ての境界線を確定するもの
その確定測量においては隣地と相互に越境が発生しないところに境界標を設置し、全ての境界線を確定しました。
10. 借地と底地のお引渡し
確定測量及び買主様の決済条件がクリアになったところでお引渡しに向けて準備を開始しました。
そして、予め必要書類等を売主様、買主様、地主さんと打ち合わせをし、後日、買主様指定の場所に集合し、借地権付建物と土地所有権(底地)を同時にお引渡しすることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「底地の高額売却」でした。
当初は、借地人さんからのご相談で始まった今回の案件ですが、協議を進めていくうちに地主さんからも土地の所有権を売却したい、というお話をいただき、協議をし、無事に案件を解決しました。
借地権については、所有権と比較して価格は低くなりますが、市場において流通性があります。
一方、土地の所有権(底地)については、市場ではほとんど流通することはありません。
かつ、相続税評価額だけが高い、相続不適格物件となります。
底地は底地だけで売却しようとしても売れない不動産、借地人さんが売却されるときにそれに便乗し、売却することで単純に底地だけで売却するよりも高い金額で売却することができます。
もちろん、今回も同様に単純に底地だけで売却するよりも2倍以上の金額で売却することができました。
底地権を高く売却するコツ、ずばり「タイミング」です!
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。