ご相談事例

土地隣の親戚の土地と一緒に有効活用できないか!(東京都)

ご相談者:Y.K 様(税理士法人からのご紹介)
埼玉県さいたま市見沼区

 私の顧問先のお客様が都内に土地を所有されており、隣の親戚の土地と一緒に
土地の有効活用ができないかとご相談をいただいている。
 御社にてご対応いただけないか。

状況

隣の親戚の土地と一緒に有効活用できないか!(東京都) 状況
【所在】東京都内
・長年空家となっていたため、樹木が生い茂っている
・維持するためにも毎年相当な固定資産税や除草費用が
 かかっている
・駅から距離があり、都市計画法上も使用用途が限定
 される
・同時に事業を進める隣接地所有者様が老人ホームに
 ご入所され、意思能力が微妙な状態
・両親が先祖代々大切に使ってきた土地のため、
 地域のためになるようなものとして活用したい
 という売主様のご意向がある

解決策

1. 活用方法の検討・周辺相場のリサーチ

 まずは物件調査をし、面談時にご報告させていただきました。
都市計画法上の用途地域が第1種低層住居専用地域であること、
駅からバス便であることを考慮すると単独で大きな建物の建築も
できません。
 医療系施設も検討しましたが、所有者様に多大なリスクとご負担が
発生してしまうこともネックとしてありました。

 周辺相場をヒアリングし、売主様とお打ち合わせをしていた際に
隣接地のゴルフ場を行政が買取り、医療施設を建設する予定があるという
お話をお聞きしました。

2. 行政との調整・古家の解体

 ご所有者様のご意向と行政の意向が一致したため、方針を変更し、
行政に売却をする方向になりました。
 そこでポイントとなるのが行政の取得金額。
 取得金額を出すためには、測量が必要となりました。
費用は、行政の負担にて測量作業を開始しました。
 測量の結果、隣接地のブロック塀が売却物件に越境していることが
判明したため、私のほうで隣接地所有者様に「建物建替え時には、
ブロック塀の越境を是正する」旨の合意書の取得をしました。

 行政が不動産を取得するときは、複数名の不動産鑑定士の先生に
よる鑑定評価にて金額が決定されます。

 そして行政より提示された取得金額◯◯万円。
お客様のためにその金額が妥当かどうか、私のほうで再度
リサーチをしました。
 結果、一般エンドユーザー並びに不動産会社よりも
高い金額だったため、売主様にその旨説明をし、進めていただきました。

 行政が取得する時の条件は、次の通りでした。
・契約前に残置物の撤去・古家の解体
 ※敷地内に区の指定を受けた保存樹林があったため、
  その解除手続きを行いました
・売主様の事前面談

 そして、解体業者さんによる樹木の伐採、古家の解体を行って
いただきました。
 樹木の伐採時にはできるだけ、今ある樹木を活かすようなかたちを
行政に依頼し、一部の樹木をそのまま残していただけるということに
なりました。
※建物の解体費用についても複数社見積もりを取得した上で検討・依頼
 しました。
 建物解体後は、土地家屋調査士の先生に依頼をし、古家の滅失登記の申請も完了。
 売買契約を締結できる準備が整いました。

3. 成年後見人制度・相続登記

 行政の担当者数名を一緒に老人ホームに入所されている売主様(隣接地)を
訪問したところ、不動産売買における意思能力がないと判断され、成年後見人
制度を申請することになりました。
 司法書士の先生にお願いをし、成年後見人制度申請書類が揃い、申請し、
間もなく、売主様(隣接地)が急遽され、相続が発生してしまいました。
 相続人は、アメリカ在住のアメリカ国籍の方。
 成年後見人制度の申請を取り下げ、すぐに相続登記の申請にはいりました。

 相続登記が完了し、売買契約について行政と打ち合わせ。
売主様が外国籍の場合、売買契約書に源泉徴収税についても
記載する必要があります。

 最終的に無事に行政にご売却いただくことができました。
将来、先祖代々受け継がれてきた土地の場所には医療施設の
庭園ができる予定となっております。

担当者からの一言

 今回の案件では当初の売主様の「地域のためになる活用をしたい」という
ご意向がかなったかたちで行政にご売却いただくことができました。
 
 これだけ盛りだくさんのことがある案件はなかなかありません。
 
 今回の土地、今後は地域のためになる医療施設が建築され、その庭園部分には
売主が大切にされ、伐採せずに残した樹木が青々としているのが想像できます。

 不動産にはたくさん「想い」がつまっています。
きっと行政が取得し、医療施設になるということも
必然だったのでしょう。

 途中、土地家屋調査士の先生、司法書士の先生、不動産鑑定士の先生、
税理士事務所の方、解体業者さんと多数の関係者で相互に連携をとることで
無事にお引渡しをすることができました。
 関係者のみなさま、本当にありがとうございました。