土地未接道で建替えができない難あり物件を買い取ってほしい!(横浜市旭区)
ご相談者: | 大手不動産 様 神奈川県横浜市緑区 |
私のお客様で横浜市旭区に空家になってしまった不動産をご所有されている方がいらっしゃいます。
その不動産について調べたところ、接道している道路が建築基準法上の道路ではなく、接道要件を満たしていないため、建物の建替えができません。
それでもお客様は少しでも高く売却したいとお考えです。
いろいろな不動産会社に相談しましたが、「接道していない不動産は買えない」と言われてしまいました。
何とか御社にてご購入いただけないでしょうか?
状況
・駅からはバス便エリア
・前面の道は「建築基準法上の道路」ではなく、未接道状態
※建替えができない再建築不可物件
・古家が2棟
・前面の通路より低い土地で隣地には老朽化したブロック塀有り
解決策
1. 担当者との打ち合わせ
ご相談いただいた担当の方に詳細の資料一式をいただき、売主様のご希望金額、売却希望時期等をヒアリングさせていただきました。
その担当の方は、すでに他の複数の不動産会社より「買えない」と断られており、鬼気迫った状態でした。
2. 現地確認の実施
ご相談いただいてからすぐに資料をもって現地確認を実施しました。
目の前の道は、幅員3mくらいの未舗装の道でした。
現地は長年空家のまま放置されていたせいか、草木のツルが古家の2階まで伸びてしまっている状態でした。
そのため、敷地内に足を踏み入れようとしても、樹木が生い茂っており、なかなか裏側へ回ることができませんでした。
3. 役所調査の実施
担当の方からヒアリングした物件の特徴(未接道物件ということ)を鵜呑みにするのではなく、私自身でも役所調査を実施。
結果、確かに目の前の道は、建築基準法上の道路ではないため、現状のままでは建物の建替えができませんでした。
4. 事業計画の立案と売買(仕入れ)契約の締結
当社にて購入できるかどうか、調査結果を踏まえ検証しました。
物件周辺の横浜市旭区では新築分譲住宅が3,000万円前後にて流通していました。
とは言っても、バス便エリアである物件周辺の動きは決していいものでなく、長期戦が予想されました。
ただ、ここで諦めてしまうとせっかく当社にご相談いただいた担当の方、何とか売りたいとお考えのお客様が路頭に迷ってしまいます。
いろいろ精査する点はあるにせよ、当社にて購入(買取)させていただくことにしました。
そして、後日、売主様と売買契約を締結したのです。
5. 測量作業と越境物の合意書の取り交わし
売買契約締結後に測量作業を行いました。
その結果、隣地のブロック塀と水道管が物件に越境していること、隣地の方お一人がさらに接道問題により建替えができないことが発覚しました。
隣地からの越境物については、合意書を取り交わしました。
隣地の建替えができない方については、当社にて行う事業の一環で何とか建替えができるようにならないか、再三再四検討を重ねました。
6. 数か月に及ぶ役所との協議
測量業務と同時並行で建物を建替えする方法が何かないか、と役所との協議を複数回行いました。
そして、最終的には目の前の道について、「特別な許可」を取得することで建物の建替えができる、との見解をもらうことができたのです。
7. 設計会社の方と役所との協議・建築確認済証の取得
役所からの見解をもらった後は、その「特別な許可」を受けるための書類の作成でした。
まずは、近隣住民の方々より誓約書(実印で押印・印鑑証明書添付)を取得。
続いて、設計会社の方に協力いただき、新築する建物の設計図面の作成をしました。
このとき、当社が購入した土地を2区画に分割し、さらに測量時に発覚した建替えができないお客様の救済(建替えができるように)も考慮し、綿密に計画しました。
そして、役所の提示した全ての条件・書類の準備ができ、「特別な許可」取得のための申請をし、無事に許可を受けることができました。
続いて、建物を建替えするための建築確認申請をし、無事に受理されました。(これで2区画ともそれぞれの区画に建物を新築できるというエビデンスがとれました)
8. 販売活動の実施と売却の契約
役所から建物を建替えるための建築確認済証の取得をした後、すぐに販売活動を開始しました。
そして、販売から1か月、販売から5か月とそれぞれの区画ともに近くにお住いのお客様にご購入いただくことができました。
※元々、買主様が周辺住民の方と想定してため、周辺住民の方の心を掴むご紹介図面などの各種広告活動を行っていたのが功を奏しました
9. 隣地の建替えができない方の救済
当初予定の分譲区画2区画の分譲が終わりました。
残るは、隣地の建替えができない方の救済だけでした。
これについては、当社が当初より隣地の方の救済のために残していた土地の一部を隣地の方にお譲りすることで問題が解決できました。
実際に当社所有部分の一部を隣地の方にお譲りをし、隣地の方が建築基準法で定める接道要件を満たし、建替えができるようになったのです。
お引渡し時、隣地の方は「自宅が再建築不可物件から再建築可能物件になったこと」で満面の笑みを浮かべていらっしゃいました。
当初は2年くらいのスパンを考え事業化した案件でしたが、ふたを開けてみると約9か月で全て完結することができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「プロの専門性」でした。
世間にはたくさんの不動産会社があります。
その不動産会社は、各々に強みがあります。
今回のように「再建築不可物件」については、不動産会社の中でも専門的に行っている会社はほとんどありません。
当社では再建築不可物件を積極的に扱っており、それを対処するため、問題解決するためのノウハウがあります。
売主様、不動産会社の方は売却先がなく、困っている状況でした。
ですが、当社が購入することで売主様、不動産会社の方も問題を解決でき、さらに隣地の建替えができない方も建替えができるようになりました。
これがきっと当社ではない他の不動産会社に売主様がご売却されていたら・・・、もしらかしたら隣地の方の不動産はいつまでも建替えできないままの不動産、再建築不可物件だったかもしれません。
再建築不可物件の再生は、役所との協議やいろんな面で関係者が多いことから難航することもありましたが、最終的にみなさんのお力添えをいただきながら、全ての問題を解決でき、関係者全員WIN WINになることができました。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。