土地市街化区域で固定資産税が高く、未接道の難あり農地を手放したい!(神奈川県高座郡寒川町)
ご相談者: | 大手銀行系不動産会社 様 東京都中央区 |
当社(大手銀行系不動産会社)のお客様に農地を所有されている方がいます。
その農地は、市街化区域内にあり、固定資産税が高額です。
また、建築基準法で定める接道義務を満たしていないため、建物の建築もできません。
お客様はこのランニングコストだけがかかってしまう不動産をお子様に相続させられない、とお悩みです。
御社にて買い取っていただくことはできないでしょうか?
状況
・駅からは若干距離はあるものの徒歩圏内に立地
・以前借地人が無断で無許可の建物を建築したため、
固定資産税が宅地並み課税
※固定資産税が年間約20万円
・建築基準法上の道路に接道していないため、建物の新築不可
・水道管やガス管が近くにないため、引込みに多額の工事費用が
かかる
・道路より土地が低くなっている
・登記地目が農地のため、農地法の届出が必要
解決策
1. 担当者との打ち合わせ
担当の方より「お客様がご所有のどうしようもない農地を買い取ってほしい。接道要件を満たしていないため、建物の新築もできません。そのため、他の会社では買えないと断られてしまった」旨のお話をいただきました。
ご所有者様の最大の目的は、ランニングコストが高額なこの農地を手放すことでした。
そして、担当の方よりこの難あり農地の物件資料一式をいただきました。
都市計画区域内ということもあり、建物の建築ができない農地でも評価額は1,800万円弱もしていました。(相続不適格物件でした)
年間の固定資産税だけでも約20万円・・・。
確かにこの農地をお子様に残したくないというご所有者様のお気持ちはよくわかりました。
2. 現地確認の実施
担当の方との打ち合わせを終え、すぐに現地を確認。
現地は、JR相模線「寒川」駅より10分ちょっと歩いたところにありました。
物件の目の前は道路ではなく、車1台がやっと通れる河川敷となっており、その河川敷を通行し、物件に進入することができました。
ただ、物件は河川敷よりも低い位置にありました。
3. 役所での物件調査と相場の把握
現地を確認した後、市役所等で物件調査を実施。
特に道路関係に注力して調査をしました。
結果としてはやはり前面の河川敷が建築基準法上の道路ではなく、建物の新築はできないということでした。
他にも水道管、ガス管が近くにないことが判明。
そのため、物件に水道管、ガス管を引込むためにはかなり高額の工事費用がかかってしまう物件でした。
また、地目が農地ということもあり、売買のためには農地法の届出が必要でした。
そのため、その手続きついても農業委員会にてヒアリングを実施しました。
各種調査の後に当社が購入して事業計画が成り立つか、周辺相場をリサーチしました。
・・・が、今回の物件のような特殊な事情の物件の成約や販売物件の情報はありませんでした。
そのため、他の収益事業なども考え、当社独自のいくつかの事業計画を立案したのです。
4. 仕入れ契約の締結と農地転用届出書の提出
当社のお声がけいただいた大手銀行系不動産会社の方とは過去にもお取引きさせていただいたことがあったため、その担当の方のお客様ということもあり、何とか当社の方で購入できるように画策しました。
最終的には少し特殊な案件として、事業計画を検討し、購入(買取り)条件の調整に入りました。
購入条件の調整が終わったところで後日、ご所有者様と売買契約(仕入れ契約)の締結。
契約締結後に農地法の規制がかかるため、農業委員会に農地転用届出書を提出し、その2週間後に無事に同届出が受理されました。
5. 残代金のお支払いと所有権の取得
無事に農地転用届出書が受理され、お引渡し条件が整いました。
そのため、最終的な残代金・お引渡しの日程を調整。
残代金の時にも何ら問題なく、手続きが進み、当社に所有権が移転しました。
これで売主様の「難あり農地をお子様に残したくない」という希望を叶えることができたのです。
6. 販売活動の立案
「建物が建てられない難あり農地」という少し手強い物件だったため、販売を開始する前に、念入りにどうしたらこの難あり物件を売却できるのか、どこにこの難あり物件に魅力を感じていただける方がいるのかを検討しました。
7. クローズな情報公開の中での売却活動と独自のルートでの成約
需要がどこにあるのか等綿密に計画したのちに情報を幅広く発信するのではなく、ある程度クローズな状態で情報発信することにしたのです。
その理由は、当社は日ごろより今回のような難あり物件の取扱いが多く、そういった物件を購入したいという「当社独自のルート」(お客様)が多数おり、そのお客様の中でご購入いただける自信があったからです。
そして、情報を発信し始めてから10日でこの難あり農地の買主様を探すことに成功しました。
後日、そのお客様と売買契約を締結し、翌月にお引渡しを終えることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「不動産に対する需要」でした。
建物が建てられない不動産は、「価値がない」と思われる方が大多数かもしれません。
ですが、不動産の価値というのは需要の有無で決まります。
その需要はお客様それぞれの利用方法がその土地に合致しているかどうかです。
つまり、建物が建てられない土地の場合には、多くのお客様の需要を満たすことができず、需要は減少してしまいます。
それでも、需要は「0」にはなりません。
そのため、今回のような難あり農地でも、どんな不動産でも需要はあるのです。
その需要の掘り起こしこそが我々不動産会社の腕の見せ所となります。
当社では、日々特殊な難あり物件が多いため、特殊な需要のお客様が多数いらっしゃいます。
これが「当社独自のルート」です。
もし、みなさんの中で特殊な物件、難あり物件をご所有されていて何としても手放したい、とお考えの方がいらっしゃるようでしたら、ぜひ、一度、当社の「独自のルート」を試してみてください。
今回は、当社の事業計画通り終えることができ、大手銀行系不動産会社の方も、難あり農地を手放せた売主様もみんながWIN WINとなる案件となりました。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。