その他維持管理が大変な老朽化アパートを高値売却し、駅近くの便利なマンションへ住み替えたい!(横浜市緑区)
ご相談者: | K.I様(ユーザー様・70代) 横浜市緑区 |
私も高齢となり、自分の将来、家の将来について、娘と話をしました。
現在の自宅は、JR横浜線「鴨居」駅からも近く、とても快適なのですが、建物が築20年以上経過しており、かつ、所有しているアパート1棟の1室に住んでいるため、他の部屋の賃貸管理などで苦労しています。
築年数の経過とともに賃料は下落するうえに空室も目立つようになってきました。
それに加え、入居者が退去する度に修繕費用がかかってしまいます。
正社員として働いている娘からは、「私は仕事で忙しく、アパートの管理まではできない。お母さんが生きている間に処分してほしい。」と言われています。
そのため、私も維持管理が大変な老朽化したアパートを娘に残すのではなく、大規模修繕をする前のこのタイミングで売却をし、駅近くのマンションに住み替えたいと考えています。
住み替えに際しては、私の年齢が年齢のため、引越しはできるだけ少ないようにしたいです。
御社のほうで私の住み替えを手伝っていただけないでしょうか?
状況
・駅から徒歩3分に立地
・境界が一部不明
・全9部屋中2部屋空家、1部屋売主様が居住中
・前面道路が狭く車の侵入不可
・過去に大規模修繕工事がされておらず、建物が老朽化している
解決策
1. 相談者との打ち合わせ
今回のお客様は、私の前職(東急リバブル地代)のユーザー様でした。
お客様からは、「今の自宅は場所は便利なのですが、娘とこのアパートのことについて話したところ、娘は私の姿を見てきているからアパートの管理が大変とわかっていて、このアパートを残さないで欲しいと言っています。空室も目立つようになり、賃料も少しずつ下落してきています。それに入居者が退去する度に修繕費用がどんどん上がってきています。そう考えるとこのアパートの大規模修繕工事をするのではなく、このタイミングでここを売却し、駅前のマンションに住み替えた方が、私にとっても、娘にとってもいいと思い始めました。田中さんのほうで手伝ってもらえますか?」とご相談いただきました。
なお、ご相談時は、全9室のお部屋のうち2部屋が空室、1部屋がお客様が居住されている状態でした。
2. 現地確認と賃貸状況の精査
お客様からお電話でご相談をいただいた後、すぐに現地のお客様のご自宅を訪問。
現地は駅からも近く、立地的には良いのですが、目の前の道路が狭く車の侵入ができなことややはり建物が築20年以上経過し、過去に大きな修繕工事もされていないため、外壁の塗膜が落ちて、階段も錆びついており、すぐにでも大規模修繕工事が必要な状況でした。
※リフォーム会社からの大規模修繕工事の見積もり金額は、1,500万円以上でした
また、一部境界標が曖昧な部分がありました。
お客様との打ち合わせにおいては、現在賃貸中の6部屋の賃貸借契約の期間や保証会社、管理会社の有無、過去の滞納などについてヒアリングを行い、お客様の手元にある現入居者が入居した時点から今までの全ての賃貸借契約書をお預かりし、賃貸状況を確認しました。
ただ、その際に一部の入居者においては、賃貸借の更新書類はあるものの、入居当時の契約書が見当たらないお部屋もありました。(その部分については後日、管理会社にもヒアリング調査をしました)
3. 役所での物件調査と査定額の提示
お客様との面談・現地確認後、すぐに市役所などで建築基準法、都市計画法、その他法令上の制限についての調査を実施。
法令上の制限の調査においては、建物新築時の建築確認申請の内容と現況の建物の広さや間取りが異なること及び新築時に検査済証の交付を受けていないことが判明しました。
そして、家賃が入ってくる収益不動産であるアパートという観点で価格査定を実施しました。
なお、今回は収益不動産のため、実際に入居者から受け取る家賃とお客様が退去された部分を貸した場合の家賃からアパート所有及び維持管理に係る費用を控除した金額、建物の修繕費用と地域的な収益率を考慮し、査定金額を算出しました。
4. 資金計画の打ち合わせと売却活動&測量の開始
査定金額を算出したところ、再度お客様のご自宅を訪問し、打ち合わせをしました。
お客様の目的は「より良い住まいへのお住み替え(お買い換え)」のため、査定金額で売却できた場合、どのエリアのどういったマンションに住むことができるのか、資金や流れについて何度も打ち合わせを重ねました。
そして、最終的にお客様、お嬢様との話し合いも終わり、、アパートからの駅近マンションへのお住み替えということで合致し、売却活動に向けて進めていきました。(売却先行方式)
売却活動に際して、駅からの近さや競合物件など綿密にリサーチをし、査定金額よりかなり上乗せをしたチャレンジ価格にて売却活動を開始しました。
と、言うのもお客様は、急いで売却するよりかは出来る限り高い金額で売却したい、というご意向があったからです。
そして、売却活動と同時に隣との土地の境目である境界標の設置のために土地家屋調査士の先生に依頼し、土地の測量を開始したのです。
5. 越境の発覚と厳しい問い合わせ状況
土地の測量が進んだところで問題が発覚しました。
それは、売却物件の水道管が地中にて隣地を通過していたのです。
そのため、土地家屋調査士の先生のアドバイスのもと、お客様と隣地の方との間で協議を重ねました。
その結果、水道管の越境については、アパートを建替えるときに引込み直しをするという内容で隣地の方にもご了承いただき、その旨、「越境物に関する覚書」として文書化しました。(売却物件の買主様にも継承する旨も記載)
進捗のある測量作業とは裏腹に売却活動をしていても、チャレンジ価格というところでなかなかお客様、他社さんからのお問い合わせはありませんでした。
6. 地元不動産会社とのコラボレーション+申込の取得
お問い合わせがほとんどない状態が続き、このままでは成約が難しいと思われたため、お客様と販売価格の変更について打ち合わせ開始しました。
※お客様とは販売価格を変更し、売却活動を継続したい旨のお話をいただきました
そんな折、すぐ近くの地元不動産会社の方よりお問い合わせをいただきました。
そのため、その場で販売価格を変更するのではなく、地元不動産会社の方のお客様の様子を伺うことにしました。(地元不動産会社からのお問い合わせは購入希望者の方も地元の方が多いため、成約となる確率が高いため)
その理由は、すぐに販売価格を変更してしまうと価格変更後にさらに価格交渉が入ってしまう可能性があることと、状況によっては価格変更前の金額でお申込みをいただけるかもしれないと思ったからです。
そして、何度も地元不動産会社の方とのやり取りを行い、最終的に査定金額よりもはるかに高い金額でお申込みをいただくことができました。
さらに言うとそのお申込み金額は、販売価格までとはいきませんでしたが、売主様とお話ししていた価格変更をした場合の金額よりも高い金額でした。
7. 諸条件の調整から売買契約の締結
購入希望者の方と再三、再四にわたり金額面以外の条件についても協議を行いました。
私が今回の交渉にあたるうえで特に注意したこと、それは、お客様(売主様)がアパート売却後にその売却代金をもってマンションへのお買い換えをされる目的のため、アパート売却後、マンションを購入・引越しまでお引越しをしなくても済むよう(仮住まいをせずに全てが1度のお引越しで済むよう)、リースバックと言って、買主様より売主様が売却した後も自宅部分について賃借し、住み続けられるようにすることでした。
そして、このリースバックの期間、賃料等の条件についても買主様にご了承いただくことに成功し、後日、地元不動産会社にてご契約を締結いただくことができました。
8. 引渡しに向けての準備
ご契約締結後は、売主様、買主様、地元不動産会社、当社とみんなでお引渡しに向けて準備を行っていきました。
投資用不動産の場合、管理会社との管理委託契約や入居者へ所有者が変わる旨、通知をしなければなりません。
そのため、事前に管理会社を訪問し、その手続きについて協議を行い、所有者変更通知書も作成しました。
その間、お客様(売主様)には、お住替え先のマンションの情報を提供し、たくさんのマンションをご見学いただきました。(帯に短し、たすきに長しという物件がたくさんありました)
9. 売却物件の引渡しとリースバック契約の締結
ご契約からお引渡しまでお客様とともに一生懸命、お住替え先のマンションをお探しした結果、「新横浜」駅近くでお客様のご希望通りの角部屋で明るいファミリータイプのマンションをお探しすることができ、そしてご購入のご契約を締結いただくことができました。
お住み替え先マンションのご購入も私のほうでご担当させていただき、最終的に販売価格から180万円の値引き交渉に成功し、お客様にも喜んでいただけました。
ほっとするのも束の間、お住み替え先のマンションが決まったのは良かったのですが、自宅アパートのお引渡しの方がお住み替え先マンションのお引渡しよりも早い時期でした。
そのため、いろいろと調整をした結果、お客様も「バタバタと引越しをするのは不安」というもあり、当初の予定通り、売却物件の買主様よりリースバックするという方向でお引渡しを迎えました。
売却物件のお引渡しは、買主様指定の金融機関に集まり、所有権移転のための書類確認、各種清算金の確認、アパート入居者に通知するための所有者変更通知書の作成を行い、残代金・各種清算金の授受を行いました。
そして、その足でお客様(売主様)と共に地元不動産会社に行き、アパートの買主様を貸主、お客様を借主とするリースバック契約(賃貸借契約)の締結をしました。
10. マンションへのお引越しとリースバック契約の解除
売却物件のお引渡しから数か月、お客様もお引っ越し準備が整ったところ、お住み替え先マンションの残代金のお支払い、鍵を受領していただきました。
そして、お客様は鍵を受領された数日後、無事にマンションへのお引越しを終えました。
マンションへのお引越しが完了したところで、売却物件のリースバック契約の解除をし、全ての手続きを滞りなく終えることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「タイミング」でした。
老朽化したアパートを売却し、駅近くの便利なマンションへ住み替えたい(買い換えたい)というご希望のお客様。
お買い換えの場合の最大のポイントは「タイミング」です。
ベストは、自宅の売却ができたタイミングで住替え先の購入ができ、引越しも1度で済むというものです。
ただ、これには売却代金、購入金額のバランスに加え、売却物件と購入物件の引渡しなど全てのタイミングが合わなければなりません。
よくあるのは、「売却したはいいが、買う物件がなく、それでも引越ししなければならない場合」や「物件は買えたが、自宅が思ったように売れない場合」です。
つまり、先に売却をすると希望金額で売却できる可能性が高いものの、購入物件がない場合は焦って引越しをしなければなりません。
仮に引越しをしても、その後、買換え先への引越しが必要となるため、合計で2回の引越しが必要となってしまいます。
一方、購入物件を先に買った場合は、気に入った物件を買えるものの、自宅が希望金額で売れず、資金的にショートしてしまったなんてこともあり得ます。
そこで今回、私がお客様のために組立てしたのは、売却先行方式を採用し、とにかくご自宅を高く売却し、かつ、万が一、ご購入のタイミング合わなくても焦って引越す必要がないように、引越しが1度で済むようにリースバックということで売却物件の買主様より一定期間有償で借り受けるというものでした。
そして、当初からの想定通り、お客様にとって自宅アパート高く売却することができ、引越しを1度で済ますこともでき、何より思い通りの駅近くにあるマンションで快適な生活を実現することができました。
お住み替えのご相談をいただいてから、マンションへのお引越しまで約8ヶ月間を要しましたが、マンションへお住み替えされたお客様は、最高の笑顔でした。!(^^)!
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!