土地施設に入所した母の自宅を売却し、資金化したい!(千葉県我孫子市)
ご相談者: | H.D 様(保険会社の方からのご紹介) 千葉県我孫子市 |
高齢になる母が高齢者施設に入所し、母の自宅が空家となりました。
空家にしておいても固定資産税や草刈り代がかかってしまいますし、これから母の入所費用もかかってきてしまいます。
そのため、このタイミングで売却し、資金化したいと思います。
お手伝いいただけないでしょうか。
状況
・駅から徒歩圏内の閑静な住宅地
・建物は築年数が経過し、老朽化している
・境界標が一部不明
・南道路で日当たり良好
解決策
1. お客様(お嬢様)との打ち合わせ
今回は、大手生命保険会社の担当の方からのご紹介のお客様(お客様は所有者のお嬢様)でした。
そのため、当初、お客様との打ち合わせの際に保険会社の方にもご同席いただき、面談を実施しました。
お客様からは、「高齢者施設に入所した母の自宅を空家にしておいても維持費がかかるだけのため、気に入っていただける方がいるのであれば、お譲りしたい。もし、売却できたら、その資金を母の入所費用に充当したい」旨のお話をいただきました。
私からは、予め用意していた周辺の取引事例・競合物件を記載した査定書のご説明、売却時の流れ、売却にかかる諸経費のご説明をしました。
そして、お客様にその内容をご了解いただき、後日、施設にて今回の売主であるお母様と面談をすることで調整をしました。
2. 司法書士の先生による本人確認と売却意思確認
今回は、売主であるお母様が90代後半とご高齢であったことからもお母様との面談の際に司法書士の先生にもご同席いただきました。
同席いただいた理由は、不動産は所有権移転の際に司法書士の先生による本人確認・売却意思の確認がされるのですが、売却開始時において売主様が本人で、売却意思もあるという確認をするためでした。
そして、司法書士の先生による本人確認・売却意思の確認をしていただいた結果、問題なく手続きを進められることになりました。
※仮に売主様の意思能力が欠けていた場合には、家庭裁判所に後見制度の申立てをしなければなりません。(費用と時間がかかります)
3. 行政での物件調査と現地調査
売主様の本人確認が終わると市役所などで物件調査を行いました。
昭和50年前後の大規模開発分譲地のため、物件調査において特に懸念されることはありませんでした。
その後、現地で現地調査を行いました。
現地は、駅から徒歩圏内にあり、周辺は一区画50~60坪前後のゆったりとした閑静な住宅地でした。
売却物件は、南道路で日当たりもよく、前面道路も約6mという好条件の土地でした。
売却物件には老朽化した建物があり、その建物内・庭先には生活用品などの残置物が残されている状態でした。
なお、現地調査では、複数あるお隣との境界標のうち1か所だけが見当たりませんでした。
4. 土地家屋調査士の先生による現況測量
現地調査後、お隣との境界標が1か所ないことが判明したため、土地家屋調査士の先生に依頼し、現況測量を実施していただきました。
なお、土地の売買の場合には原則として売主様により境界標を明示していただくというのが一般的です。
※売主様、買主様ともに境界標の明示を省略することで合意した場合は、売主様は境界標の設置を省略することができます。
そして、土地家屋調査士の先生による現況測量の結果、当初見つからなかった1か所の境界標が地中の深くより発見されました。
土地での売却の場合は、購入希望者がその土地にどのくらい大きな建物の建築が可能か、建物のボリュームをいれます。
その時にこの土地家屋調査士の先生が作製した周りの長さや高低差、構造物などが記載された「実測図」や「現況測量図」が役立つのです。
5. いざ、売却開始
土地家屋調査士の先生による現況測量図の作製が終わるといよいよ売却開始です。
今回の売却物件は、分譲地内の南道路と希少性が高いことから当初は、査定金額にプラスαしたチャレンジ価格にて売却を開始しました。
当初売主様からは「古家は壊してからでないと売れないのですか」とご質問いただいていたのですが、古家は壊さずに「古家付き土地」として売却を開始したのです。
6. 購入申込書の取得
チャレンジ価格で売却開始して間もなく、地元のハウスメーカーの方より「購入を検討しているお客様がいる。ただし、当社では仲介業務ができないため、リライトさんに仲介業務をお願いしたい」旨のお話をいただき、購入希望者の方をご紹介いただけました。
そして、後日現地で購入希望者の方とお会いしたのです。
購入希望者の方は、すぐ近くにお住まいのとても感じの良いお若いご夫婦でした。
その場で土地のご説明や今後の流れ、ご資金計画についてお話しさせていただきました。
そして、購入希望者の方より購入申込書を取得。
ただ、申込みいただけた金額は、売却価格から若干の価格交渉が入っていました。
7. 売主様との諸条件のすり合わせとご契約
購入申込書をいただた後、売主様のご自宅に伺い、打ち合わせをしました。
打ち合わせ内容は、購入希望者がどういった方なのか、購入動機、売却希望金額と購入希望金額の乖離、スケジュールについてでした。
売主様は、購入希望者の方が売却物件をとても気に入っていただけていることを考慮され、購入希望者の方の購入希望金額をご了解いただけたうえに購入希望者のご夫婦に産まれたばかりのお子様がいること(これからお金がかかる)、大切に使っていただけることについてのご厚意でさらに30万円ご契約金額を下げるという旨のお申し出いただきました。
購入希望者の方は当然、大変喜ばれていました。
契約条件が整ったところで売買契約書・重要事項説明書を作成し、予め売主様、買主様にご確認いただきました。
後日、売主様のご自宅にて買主様同席のうえ、売買契約の締結。
ご契約は、とても和やかな雰囲気の中で進み、売主様、買主様ともにご自宅が近いこともあり、地元ネタのお話で盛り上がっていました。
8. 住宅ローンの申込みと残置物の撤去
ご契約締結後、買主様には住宅ローンの本審査お申込みをいただき、間もなく、その融資申込について本承認がなされました。
買主様の融資の本承認後、売主様は古家内の残置物の撤去作業に入りました。
この時、買主様のお知り合いの方で地元NPO法人をされている方にもご同席いただき、不要な家庭用品などを廃棄するのではなく、NPO活動の中でお困りの方に使っていただけるよう売主様よりNPO法人に譲り渡す作業も行われました。
そして、古家の内部、庭先の残置物などが一切なくなったのです。
9. お引渡し前の意思確認とお引渡し
今回は、売主様がご高齢ということもあり、ご契約後、お引渡し前にも売却開始前と同様に司法書士の先生による売却意思確認を行いました。
ここでの司法書士の先生による売却意思確認も問題なく、お引渡しの準備が整いました。
後日、買主様が住宅ローンをご利用される金融機関にて集合し、残代金の授受と所有権移転登記手続きを行い、全ての手続きが完了しました。
この時、買主様から売主様に「ありがとうございました。お譲りいただいた不動産は今後、家族で大切に使わせていただきます」とお話しされていたのがとても印象的でした。
最初から最後まで売主様と買主様はこの日にお取引きされるのは運命だったのではないかと思えるくらい終始、とてもフィーリングがあっていたように思えました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「ご高齢者の売却時期」でした。
不動産の売却には、売主様の意思確認が必要となります。
お元気ではっきりと意思が伝えられる方であればよいのですが、高齢化社会となっている現在においては、売主様がご高齢の場合が多々あります。
その場合、売主様の意思が曖昧であったり、意思確認ができない場合もあります。
つい先日も、売主様の意思確認ができず、当社で「後見人制度をご利用されなければ売却ができません」とお断りさせていただいたこともありました。
このようにご高齢者が売主様となる場合には、売主様がはっきり意思確認ができる時期にご売却をされることが非常に大切となります。
やっぱり「売ろう」と思った時に売主様の意思確認がとれないと売ろうにも売れません。
今回の案件については、お嬢様のご判断によりお母様の意思能力がある状態で売却のお手続きができたこと、これが大きかったのだと思います。
「いくら」で売却するかも大切ですが、「誰」に売却するかもとても大切なことですね。
それにしても今回はとても良いお取引きとなりました。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!