土地火事で全焼した残骸がある土地を処分したい!(静岡市葵区)
ご相談者: | 横浜市内の不動産会社 様 横浜市瀬谷区 |
静岡県に当社の先代が昔購入した土地があります。
その土地は、以前賃貸していたのですが、入居者の方が小火(ぼや)を起こしてしまい建物が全焼してしまいました。
その方(前入居者)とは協議をしていますが、その土地には全焼した建物の残骸が残っています。
山奥でその残骸を処分するのにも数百万円かかってしまいます。
極力持ち出しを少なく処分したいと考えています。
特殊な案件のため、手伝ってくれる不動産会社がいません。
処分を手伝ってください。
お願いします!
状況
・駅からバス便の山奥の集落の一画
・火事で焼けた建物の残骸がある
・土地面積628㎡
・境界標が不明
・裏に崖がある
※土砂災害特別警戒区域・砂防指定地
解決策
1. 担当者との打ち合わせ
今回の売主様は当社と複数お取引きいただいている横浜市内の不動産会社 様でした。
お話をお聞きし、ご担当者の方とお会いして面談を実施。
その際に先代の代表者の方が昔競売で取得した土地を処分したいこと、その土地には以前住んでいた方が小火をだし全焼してしまった建物の残骸があること、土地の処分に際して持ち出しは最小限にしたいことをお聞きし、それと併せてどうしても当社に売却をお願いしたい旨のお願いをされました。
今回も売却が難航しそうな土地でしたが、処分業務をお引受けすることにし、担当の方より売却物件の資料一式をお預かりしました。
同時に売却物件周辺の不動産市況も調べてみましたが、売出物件、成約事例ともにありませんでした…。
2. 法令上の制限の調査
担当者との打ち合わせをし、後日、調査を実施。
まずは市役所などで法令上の制限を調査しました。
売却物件は都市計画区域外にあり、土地の裏側が崖地となっているため、「土砂災害特別警戒区域」・「砂防指定地」と指定されていることが判明しました。
※両地域とも建物の建築には規制がかかります
法令上の制限については、上記以外大きな懸案事項はありませんでした。
3. 現地調査の実施
市役所などでの調査を終え、現地に向かいました。
静岡市葵区と言えども、郊外の山奥にある集落の一画でした。
市役所などがある中心市街地から車で走ること約50分、現地に到着すると担当の方よりお聞きしていた通り、焼けた建物の残骸がそのままあり、それを見た時の衝撃は今も忘れることはできません。
山奥の集落のため、周辺の道路は狭く、建物の残骸撤去には数百万円かかることが容易に想像できました。
境界標も見当たりませんでした。
4. 難あり物件の売却活動開始
調査をひと通り終え、横浜に戻り売主様に調査結果をご報告。
そして、売却活動に向けて手続きを進めていきました。
当初売却価格は、建物の残骸の撤去費用も考慮し、格安金額で良い旨、売主様よりご了解いただきました。
いざ、売却活動を開始。
不動産会社専用サイトやその他不動産検索サイトに登録し、SNSで多方面に向けて情報を発信しました。
その結果…、売主様が「タダでも買い手は現れない」と思っていた今回の売却物件に売却開始後2週間で2組の購入申込みをいただくことに成功したのです。
そして、売主様と協議をし、そのうちの1組の方にお譲りさせていただくことで決定。
なお、購入希望者は静岡市内にある電気工事をされている法人でした。
その購入希望法人は建物の残骸は自社で徐々に撤去し、周辺の開いているスペースを車両置場や資材置場として利用する目的での購入でした。
5. 売買契約の締結とお引渡し
購入希望者が決定し、契約に向けて手続きを進めていきました。
まずは私が契約書・重要事項説明書の作成をし、売主様、買主様双方にご送付、ご確認いただきました。
後日、契約日時を調整。
ご契約は売主様がご出席できないため、予め売主様には買主様が指定された司法書士の先生とご本人確認及び契約関係の書類への署名・押印をしていただきました。
数日後、その司法書士の先生の事務所に買主様と集合。
そこで買主様に売買契約の締結、売買代金の授受、お引渡し業務などの一切の手続きを行い、難あり物件の「売却」が完了。
物件は条件的に厳しいものでしたが、とっても素敵な法人さんにお買い求めいただくことができ、私としてもひと安心でした。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「まずはやってみること」でした。
今回の売却物件は、山奥の集落の火事で焼けた残骸のある土地でした。
その見た目は強烈で誰しもが「売れない」と思ってしまう物件でした。
初めて見た時は、私もさすがに売却は難しいのではと思いながらも売主様のためにという一心でご協力し、実際に売却活動を行いました。
その結果、2週間で買主様をお探しすることに成功したのです。
これがもし、この物件は売れないだろうなと思い、何も行動しなかったとしたら(売却活動を行っていなければ)、きっと売主様はいつまでも売却できず、所有し続けなければなかったに違いありません。
当初は、売主様も処分するために資金の持ち出しも検討されていましたが、最終的には持出していただくこともなく、「売却」(贈与ではなく)できたことは、売主様にとってとても良い条件であったとともに私自身良い経験となりました。
それにしても、本当に「売れない物件はありません」ね、つくづく実感した今回の案件でした。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!