土地昔父が購入した那須の別荘地内の土地を処分したい!(栃木県那須塩原市)
ご相談者: | Y.D 様(インターネットからのお問い合わせ) 千葉県千葉市中央区 |
父が30年前に購入した土地が栃木県那須塩原市にあります。
その土地は使っていなくても、毎年固定資産税と別荘地の管理費がかかっています。
父も昨年他界し、その土地を母が相続しました。
ただ、母も高齢のため、そのまま所有していても将来、娘の私のもとにきてしまいます。
そうしないためにもその土地を母から譲り受けました。
この譲り受けた土地をタダでもいいからなんとか手放したい。
御社では別荘地内の売りづらい土地でも売却できると聞きました。
私が所有している土地の売却もお願いします!
状況
※白笹温泉郷別荘地内の土地
・しっかりと管理された別荘地内の一画
・毎年ランニングコストがかかる
※管理費24,000円/年
・権利金を支払えば温泉利用可
・緑が多い
・南傾斜地に立地
・大きな岩が複数有り
・複数の不動産会社から「売れない」と
言われた土地
解決策
1. お客様との打ち合わせ
お客様よりインターネットで「那須で所有している土地を処分したい」旨のご相談をいただきました。
そこで後日、売却希望の土地の資料をご持参のうえお客様にご来店いただきました。
聞くところによると売却希望の土地は、30年前のバブル時にお父様が投機的な目的でご購入された別荘地内の土地で購入後は特に使用することなく、今まできてしまったそうです。
お父様が他界され、高齢のお母様が相続されたそうですが、お母様が将来認知症などを患い売りたくても売れなくなってしまうことを懸念され、今のうちにお客様の名義に贈与を原因とする所有権移転登記をされていました。
お客様はいくつかの不動産会社にも土地の処分に向けてご相談されたそうですが、全ての不動産会社より「売れない」と言われてしまったそうです…。
そして、「タダでもいいからとにかく手放したい!何とかお願いします!」とお客様よりお願いされてしまい、そのままその土地の売却業務をお引き受けすることにしました。
一連の売却の流れをご説明し、実際に周辺の不動産の成約事例がないかお客様と一緒に確認。
数多くの売却物件はあるものの、成約事例の登録は全くありませんでした。
2. 市役所などでの物件調査
お客様との打ち合わせを終え、現地調査のためのスケジュール調整をしました。
後日、明け方に横浜の自宅を車で出発し、那須塩原市役所に向かいました。
開庁と同時に市役所で物件調査を開始。
都市計画法、建築基準法、その他法令上の制限について調査を実施。
別荘地内ということもあり、森林法・自然公園法(日光国立公園の普通地域)や景観法の規制がかかることが判明。
物件調査においては特に懸念される内容のものはありませんでした。
3. 現地での物件調査
役所での調査を終えた後に売却物件の現地に向かいました。
現地は、緑に囲まれたマイナスイオンたっぷりの別荘地内の一画にありました。
別荘地内は、多くの建物が建築されてはいるものの、雑木林となっている土地も目立ちました。
売却物件は、幅4mの道路に面した南傾斜の515㎡の土地でした。
境界標は全て設置されており、現地調査において判明した懸案事項は、大きな木が多数あることと大きな岩が複数あることでした。
それから売却物件の周囲の長さを計測し、売却活動のための写真を撮影しました。
4. 管理会社でヒアリング調査
現地調査を終えた後は、現地管理事務所で管理費などのランニングコストや別荘地内の注意事項をヒアリング。
その結果、売却物件の土地には毎年24,000円の管理費がかかり、建物を建てる時には工事負担金(200,000円)がかかること、建物を建てた後には土地の管理費に48,000円が増額となること、また権利金(1,200,000円)を支払えば温泉が利用できること、冬場は別荘地が立入禁止となることがわかりました。
そして、管理事務所の方に別荘地内の土地のみの流通についてお聞きしたところ、その方からは「土地だけの物件はここ数年売れていません」という旨のお話を聞いたのです。
5. 売却情報の周知
物件調査をひと通り終えて、横浜の会社に戻り、売主様に調査結果をご報告。
そして、売主様と再度打ち合わせを行いました。
売主様のご意向は当初から変わらず、「タダでもいいから手放したい」というものでした。
当初は一般市場に向けての売却活動も計画しましたが、そうはせずに最終的に当社のユーザー様の中で特に格安物件をお探しの不動産コレクターの方に向けて情報を発信してみることにしました。
するとその中のお客様より1件だけ具体的なお話をいただくことができました。
ただ、残念なことにその内容は土地を引き受けるかわりに、売主様に買主様への所有権移転の登記費用と1年分の管理費を負担してほしい、というものでした。
つまり、売主様はタダで処分できるのではなく、登記費用と管理費1年分を持ち出しすることでやっと手放すことができるというものだったのです。
※不動産コレクターの方は全ての物件をお引き受けいただけるわけではなく、その判断基準は将来ご自身が住みたいと思える土地かどうかでした。
売主様にはその旨と無理して今回のお客様で話を進める必要はない、一般市場での売却活動を行うこともできる旨お伝えしました。
すると、売主様からの回答は「今後、引き受けていただける方が現れるかわからない。一般市場で一定期間販売して売れなかった場合、今回の購入希望者の方がお引き受けいただけなくなってしまうかもしれない。そうであれば、持ち出しになっても仕方がない。今回のお客様でお話を進めてください」というものでした。
6. 売買契約の締結とお引渡し
買主様も決定し、売買契約に向けて手続きを進めていきました。
契約書の作成や登記費用の見積もりの取得などなど。
そして、契約書書類を売主様、買主様双方に予めご確認いただいた後、当社に集まり、売買契約の締結、登記費用・管理費のお支払い、引渡し手続き、管理会社への名義変更届の作成等一切の手続きを無事に終えることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「マイナス不動産の売却」でした。
日本では少子高齢化に伴う人口減少などにより空き地・空き家が全国的に急激に増加しています。
特に所有しているだけでランニングコストがかかるリゾートマンションや別荘地内の土地・戸建は、購入したいという方がほとんどいないため、売りたくても売れない状況になっています。
そういったリゾート物件や地方の空き地・空き家を処分したくてもできない方は、相続が発生した時に相続放棄をしたり、相続発生前に処分するために多額の費用を負担して(持ち出しして)そういった不動産を処分されているのです。
最近ではこのような売却・処分するために費用がかかってしまう不動産を「マイナス不動産」というようになりました。
今回はまさにその「マイナス不動産」の売却でしたが、それでもお引き受けいただける方がいただけでも不幸中の幸いだと思います。
これからますます増えるマイナス不動産、みなさんはそのマイナス不動産をいつ手放しますか、今ですか?何十年先ですか?
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!