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土地半永久的に管理費を払い続けるのが不安のため、別荘地を手放したい!(岐阜県郡上市)

ご相談者:Y.I 様(インターネットからのお問い合わせ)
愛知県小牧市

 岐阜県郡上市に10年以上前に200万円弱で購入した別荘地を所有しています。
 買ってから別荘を建てることもなく、現地にもほとんど行っていません…。
年間2万数千円の管理費を支払っているだけの状態です。
売却を考え、現地の不動産会社など数社にあたってみましたが、「この別荘地は不動産売買がほとんどなく、買い手がほとんどいない」とのこと。
このまま半永久的に売れず、私から息子に相続され、更に息子から孫に相続され、管理費を払い続けるのかと思うととても不安です。
とにかく手放せればいい、可能でしょうか?

状況

半永久的に管理費を払い続けるのが不安のため、別荘地を手放したい!(岐阜県郡上市) 状況
【所在】岐阜県郡上市高鷲町大鷲
※ニューパークひるが野別荘地内の土地
・土地286㎡の路地状敷地(接道幅:3m)
・境界標一部見当たらない
・駅からバス便の山奥の別荘地内の一画
・現況雑木林で大部分が傾斜地
・使っていなくても毎年固定資産税、別荘地の管理費
 などのランニングコストがかかる
・隣地所有のアンテナが越境

解決策

1. お客様との打ち合わせ

 お客様よりインターネット経由で10年前に購入した使っていない別荘地内の土地処分のご相談をいただきました。
その土地は、使っていないくても毎年管理費と固定資産税がかかる土地でした。
お客様は、そのランニングコストを今後半永久的に支払い続けなければならないこと、その土地を手放さなければ永遠子どもたちに残ってしまうことを不安に思い、私までご相談いただいたのです。
 すでにお客様が現地の不動産会社数社にご相談され、全ての会社から「売れない」、「うちでは扱えない」と断られていました。
そこで私の方で売却活動をお引受けさせていただくことにしました。
それは、私以外でご対応いただける不動産会社がいないからです。
お客様が愛知県在住のため、遠方でお会いすることができないため、後日、売却物件の資料を郵送で受け取りました。

2. 市役所などでの物件調査

 お客様から売却物件の資料を受け取り、物件調査の準備に取り掛かりました。
当社のある横浜から売却物件のある岐阜県郡上市は遥か遠く、それでもスケジュール調整をし、深夜に横浜を車で出発し、現地に向かいました。
 まずは市役所などでの法令上の制限に関する調査を開始。
 売却物件は、都市計画区域外にある土地でしたが、建物建築の際には建築確認が必要な区域でした。
他に景観法や森林法の適用がある土地で傾斜地だったにもかかわらず、土砂災害警戒区域などの指定はされていませんでした。
それ以外特に懸念されるような内容のものはありませんでした。

3. 管理会社・管理事務所へのヒアリング

 法令上の制限の調査を終え、管理会社、管理事務所に別荘地の規定についてヒアリングを実施し、管理規約等を受領しました。
売却物件は、土地として所有しているだけで年間25,920円の管理費がかかり、建物を建築した後はその管理費が年間77,760円に増額されます。
建物を建てる際には、負担金80万円、保証金30万円などがかかる土地であること、別荘地内独自の建築制限が多数あることが判明しました。
 現地管理員の方に今まで土地だけで売買されたことがあるのか、別荘地内の土地を探している方がいないかヒアリングしましたが、管理員の方からの回答は、「土地だけでは取引きがない。(売れていない)この別荘地内で土地を探している人はいない。」というものでした。

4. 現地調査の実施

 管理関係の調査も終え、現地に向かいました。
山道を抜けるとそこには別荘地のゲートがあり、その脇には現地管理事務所がありました。
別荘地の周辺にはスキー場がいくつもありました。
緑が多い別荘地にはぽつりぽつりと建物が建っていました。

 そして、売却物件現地に到着。
売却物件は、道路との接道幅が3mの路地状敷地で、全体的に傾斜地でした。
すぐに境界標を探し始めましたが、一部の境界標が不明でした。
また、敷地内に隣地のアンテナと大きな石が越境していることが判明しました。
隣に1棟だけ建物があり、ご挨拶のため、訪問しましたが不在で長い間空家のようでした。
そして、土地の周囲の長さを計測し、販売用の写真を撮影し、現地調査を終えました。

5. 売却活動の開始

 調査を終え、横浜の会社に戻り売主様に写真を添えて、調査結果をご報告。
そして、売却価格について打ち合わせをしました。
その結果、当初売却開始金額は162万円となりました。
それから私の方で幅広く情報を発信するために不動産会社専用サイトやその他不動産検索サイトに掲載をしました。
ところが、そもそも需要がない別荘地内の傾斜地の土地の売却は難航を極めました。
お客様からのお問い合わせはほとんどなくインターネットのアクセス数も伸び悩んでおり、時間だけが無駄に過ぎていきました。
もちろん、その間も私は購入者が見ているであろう不動産検索サイトに情報を発信し続けていきました。
 お問い合わせがなかったため、販売価格を徐々に下げて、方々へのご紹介を継続。
すると、売却活動を開始してからちょうど1年、インターネット経由でお問い合わせいただいたお客様より購入申込書をいただくことができました。
 購入希望者の方は、スキーがお好きな大阪在住のご家族でツリーハウスの建築を夢見ていました。
 境界非明示での売却活動をしていましたが、購入希望者からは「将来、境界に関するトラブルは起こしたくない。引渡し前までに売主様にて境界標の設置をして欲しい。費用は当方にて負担します。」というご希望がありました。
 これを売主様にお伝えすると売主様もその旨、承諾されました。

6. 売買契約の締結と測量

 買主様、売主様との契約条件が整い、売買契約の準備に取り掛かりました。
売主様は愛知県在住、買主様は大阪府在住、当社は横浜というそれぞれが遠方であり、手続きに苦労しました。
それでも無事に売買契約を締結いただき、そこから契約条件である境界標の設置・測量の作業に入りました。
 測量は、売却物件のある地元の土地家屋調査士の日置先生にお願いをしました。
日置先生はとてもフットワークがよく、現況測量、境界標の設置と手際よく行っていただけたうえに、途中の進捗報告も適宜いただけていました。
そして、売却物件に越境している隣地のアンテナの件も隣地所有者と協議をしてくださり、後日、隣地の方がアンテナを移設していただけること(越境の解消)になりました。

7. 名古屋でのお引渡し

 境界標の設置・測量も終わり、売買条件が整いました。
そのため、お引渡しに向けて準備を進めていきました。
お引渡しは、名古屋駅にある司法書士の先生の事務所に売主様、買主様、私と集合し、売買代金の授受、所有権の移転手続きを行いました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは「契約条件」でした。

 今回も売却しづらい別荘地地内の雑木林でした。
 当初販売していた売却条件は「境界非明示」でしたが、買主様のご希望により「売主様にて境界標を設置してでのお引渡し」となりました。
このように不動産売買においては売主様の売却条件が全てではなく、買主様としても条件提示の余地があるのです。
 売却条件が協議できると知らなければそのまま契約となってしまいますが、もし、売主様に常識の範囲内での主張をし、それが通ればこんなに嬉しいことはありませんね。
ただ、売主様、買主様にとって非常識な注文をつけてしまうと売れるものも売れなくなり、買えるものも買えなくなってしまうことがあるのでそこは注意が必要です。

今回の買主様の夢のツリーハウスの完成が楽しみです。!(^^)!

関係者のみなさま、本当にありがとうございました!