土地広すぎて維持管理が大変な家を売却し、駅近の戸建に住み替えたい!(神奈川県茅ヶ崎市)
ご相談者: | H.S 様(ファイナンシャルプランナーの方からのご紹介) 神奈川県茅ヶ崎市 |
今、私は駅から徒歩20分くらいのところにある一戸建に住んでいます。
土地は483㎡あり、南側道路で日当たりも良いところです。
ただ、建物は築45年と古く、面積は210㎡もあります。
建物は全体的に老朽化していて、この土地と家に夫婦二人で住んでいますが、広すぎて維持管理に手が回らない状態です。
私ももう66歳になるため、今後はもっと駅に近い、もっとコンパクトな戸建に住み替えたいと考えています。
私たち夫婦も高齢となり、今後医療費などお金がかかることを考えると手持ち資金はあまり使いたくありません。
私たちの住み替えのお手伝いをしていただけないでしょうか?
状況
・駅から徒歩20分くらいのところに立地
・海までも近く人気エリア
・土地面積483㎡、建物面積210㎡(建物は築45年)
※広すぎて管理ができていない
・境界標が一部不明
・既存の借入はない
■住み替えに際して
・便利なところのコンパクトな戸建に住み替えたい
・ご年齢が66歳のため、融資が受けづらい
・今後のために自己資金を使いたくない
・売却後は一定額以上手元に残したい
解決策
1. お客様との打ち合わせ
今回のお客様は、いつもお世話になっているファイナンシャルプランナーの方のご紹介でした。
その方からお客様のご連絡先をお聞きし、ご連絡。
後日、お客様が経営されている喫茶店でお会いし、打ち合わせさせていただきました。
お客様からは「駅から距離があり、広すぎて管理ができない老朽化した自宅(戸建)から駅に近く便利でコンパクトな戸建に住み替えたい」旨のご相談をいただきました。
なお、お客様のご意向としては、自己資金は使わずにご自宅を売却し、その売却代金で買い替え先の費用も充当したいというものでした。
そして、今回のお住み替えに際しての背景やお住み替え先の条件など事細かにお聞き、後日、今回のお住み替えするための資金計画についてご提案させていただく旨、お約束しました。
2. 物件調査と価格査定
お客様との打ち合わせ後、ご自宅にかかる法令上の制限などを市役所等で調査。
調査結果としては、特に懸案事項となることはありませんでした。
そして、調査内容を考慮し、ご自宅が一体いくらで売却できるのかを周辺の取引事例や売出し物件と比較し、査定金額を導き出しました。(査定金額は1億円超となりました)
ただし、土地面積が広くても地域的に1億円超となる土地の流通はなかなかありません。
なお、お客様のご自宅は土地面積が483㎡あり、その地域は、最低敷地面積が100㎡と指定されていたため、4区画に分割することも可能でした。
※一般エンドユーザーよりも不動産買取会社の方が購入金額が高いと予想できました
3. 資金計画のご提案と住み替え方法
住み替えのポイントは、「売却したはいいが、良い物件先が購入できるかどうか」、もしくは「良い物件を購入できたが、思っている金額以上で売却できるかどうか」です。
今回のお客様のお住み替え先のエリア、建物の間取り、条件などを考慮するとお住み替え先は総額7,000~7,500万円くらいと予想されました。
もし、その金額を住宅ローンとして利用できるのであれば、購入後、ゆっくり売却するという選択肢もとれましたが、お客様のご年齢が66歳、自己資金は使いたくないという前提条件では先に住宅ローンを組むということは現実的ではありませんし、万が一、思った金額で売却ができなかったということになれば、想定外の借入れだけが残ってしまう可能性がありました。
そこでお客様には、住み替え先の物件は探しつつ売却先行(売却できたら、一度仮住まいに引越し、その後、売却代金をもって住み替え先を購入・運が良ければ仮住まいへの引越しがなくなる場合もあり)というご提案をさせていただきました。
※この時、お客様には売却先行時のご資金計画、購入先行時のご資金計画の2つをご提案させていただきました
ところがお客様からの回答は、「住み替え先あっての買い替えとなるため、先に住み替え先の物件を探し、その後に良い条件で自宅を売却したい」というものでした。
そのため、私としてはその方向でお客様のリスクとなることを最小限に抑えられるよう調整を図っていきました。
4. 二人三脚での物件探しと測量
お客様のお住み替えが「先行購入」(物件を購入してからのご自宅の売却)という方向性で決まりました。
そして、お客様との二人三脚での物件探しが始まりました。
不動産会社専用サイトの新規物件や未公開の物件情報などが入り次第、お客様にご紹介をし、お客様はインターネットで気になる物件があった時には私に連絡をいただき、私がその詳細情報を入手していました。
ただ、お客様のお探しのご条件、エリア、ご予算の関係でなかなかしっくりくる物件が出てきませんでした…。
ところが物件探しから約1年、ようやくお客様のご条件を満たすことのできる物件が出てきました。
その物件は、駅からも近く、南道路で明るい171㎡の土地でした。
その土地にお客様のご希望する建物の間取りが入るのか、その場合、いくらで建築できるのかなどを検討していきました。
その間、ご自宅の売却時の条件で境界確定・測量図の交付が予想されたため、時間のあるうちから土地家屋調査士の先生に依頼し、測量にはいっていただきました。
測量については、何の問題もなく、比較的早い段階で隣地所有者の境界立会い、全ての境界標の設置が終わりました。
5. 売却の抑え
購入希望物件が見つかり、建物建築にかかる金額もわかりました。
そして、土地の購入資金、建物の建築資金、諸費用の総額が当初、物件探しをした当初から大幅に増額し、8,000万円超となってしまっていました。
また、建物の建築予定のハウスメーカーへの支払いスパンが請負契約時の着手金、中間金など建物完成までに多額の費用を準備しなければならず、売却代金で充当するということができませんでした。
そのため、お客様にはお仕事柄お世話になっている信用金庫の担当の方をご紹介いただき、その後、私の方でその担当の方に不動産担保ローン的な融資がないかを確認しました。
※今回の信用金庫は当社ともお取引きがあったため、お話はとてもスムーズに進みました
住宅ローンについてはお客様のご年齢を考えると返済期間が短く、現実難しかったからです。
信用金庫の担当の方には私が用意した査定書をお渡しし、不動産担保ローン的な融資のご検討をいただきました。
そして、事前の段階ではあるものの、お客様のご自宅を担保として、建物建築資金の融資を借りれる手配がとれました。
さらに私が行ったこと、それは当初の査定額を絶対に下回らないように不動産買取会社にあたりをつけたことでした。(実際に2社ほど、当初の査定金額であれば購入できるという不動産会社が現れました)
それは万が一、お客様が不動産担保ローンを組み、ご新居に引越し、さぁ売却という時に「思った金額で売れなかった」という状態を回避するためです。
もちろん、査定金額以上より高い金額での売却を目指しますがここではあくまで抑えの不動産会社をキープするに留まりました。
また、このタイミングで売却の契約をしてしまうと引渡し時期が不明確で約定の引渡し日に引渡しができず、違約金が発生してしまうリスクがありました。
6. 住み替え先の土地の契約、融資、引渡し、建築
資金的な手配もできてから購入申込書をいただき、住み替え先物件の売主様と諸条件につき、協議をしました。
そして、条件がまとまったところで売買契約の締結。
お客様にはご契約締結後速やかに融資の申込み手続きを行なっていただきました。
その融資申込みについては、事前に融資審査をお願いしていたこともあって、すぐに承認されました。
そして、無事に土地のお引渡しも終わり、ハウスメーカーによる建物の建築に入りました。
7. 売却活動の開始
建物の完成時期が明確にわかるタイミングでお客様と打ち合わせをし、売却活動にはいりました。
どちらにしても建物完成までは引越しができず、時間的な余裕もあったため、査定金額をかなり上回る金額で不動産検索サイト(アットホーム)のエンドユーザー向けのみで情報を公開。他にも不動産仲介会社へのご紹介もしました。
不動産会社専用サイトには公開せずにエンドユーザー向けのみで情報を公開したのは、不動産買取会社に知られないためです。
不動産買取会社には公開されている情報より未公開で情報を提供した方が高く買っていただける確率が高いからです。
アットホームサイトに掲載した理由は、その金額でエンドユーザーからお問い合わせがいただけるのか、サイト画面をどのくらい閲覧している方がいるのかを調べたかったからです。
ただ、結果としては相場よりかなり高い金額での販売だったため、お客様、他の不動産仲介会社の方からのお問い合わせはありませんでした。
8. プライベート入札の実施
その後も購入希望者は一向に現れませんでした。
このままでは時間だけが過ぎていってしまうため、売主様に「プライベート入札」のご提案をしました。
プライベート入札とは、その地域で不動産を高い金額で買い取っている不動産会社を数社ピックアップし、その数社で入札を行うことです。
不動産買取会社としては、不特定多数の不動産会社が参加し、買えるかもわからない入札よりある程度、参加者が限定されている方が頑張って高い金額を提示しやすくなります。
そして、売主様からもこのプライベート入札への同意をいただき、最低落札価格を当初査定金額に設定し、情報を発信。
すると想定通り入札参加者がそれぞれ頑張った金額(高い金額)をご提示いただけました。
最終的に当初査定金額より1,300万円ほど上積みすることができ、後日、落札した不動産買取会社とご契約を締結していただきました。
9. 建物のお引渡し、お引越し、土地のお引渡し
土地の売却の契約締結時には建物は完成しておらず、建築中でした。
後日、建物が完成すると信用金庫からの融資で建物の残代金、諸費用をお支払いいただきました。
そして、お客様は夢のご新居にお引越しされたのです。
その後、旧ご自宅のお引渡しに向けて調整。
旧ご自宅に設定された信用金庫の抵当権を外すために信用金庫の担当の方と事前に打ち合わせ。
後日、買主様に所有権と鍵をお引渡しし、売主様に残代金を受領していただきました。
そして、その残代金の一部で信用金庫の融資を完済、抵当権の抹消も終わり、お客様の「より良いところへのお住み替え」が完了しました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「お金のつくり方」でした。
今回はご自宅を所有されていたお客様のお買い替えの案件でした。
お買い替えの場合、売却時の費用は支払いのタイミングを調整し、買主から受領する売却代金で充当することができますが、購入時の費用は自己資金からの持ち出しか融資に頼らざるを得ません。
今回のお客様についてはご自宅の土地の価値はあるものの、ご年齢的に住宅ローンのご利用が難しい方でした。
そのため、一時的にご自宅を担保として融資を受けるというスタイルの不動産担保ローンをご利用いただき、そこから住み替え先土地の購入資金、建物の建築資金、諸費用をお支払いいただいたのです。
こういった資金スキームを活用し、お客様は「より良い住まいへのお住み替え」を実現させました。
ただ、不動産担保ローンは、融資のため、返済しなければなりません。
注意すべきことは、住み替え完了後に当初の計画通りの金額で売却し、返済ができるかどうかです。
お住み替えの案件は、注意ポイントも多いため、信頼できる不動産コンサルタントへのご依頼をおすすめします。
そして…お住み替え後のお客様のご新居はとっても素敵でした~。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!