土地今にも倒れそうな遠隔地の廃屋を手放したい!(福岡県糟屋郡宇美町)
ご相談者: | 横浜市内の不動産会社 様 横浜市瀬谷区 |
福岡県に先代の社長の時代に競売で取得した今にも倒れそうな廃屋があります。
その廃屋は建物自体が一部崩れており、使用もできないため、廃屋の解体費用を考えると足がでてしまうのではないか心配です…。
ただ、このままにしておくわけにもいかず、地元不動産会社もわからないため、信頼できるリライトさんに売却というより処分のお願いしたいと考えています。
福岡県という遠隔地ですが、リライトさんでご対応いただけますでしょうか?
よろしくお願いいたします。
状況
・駅からバス便エリアに立地
・周辺は平坦地
・今にも倒れそうな廃屋がある
※特定空家に指定される直前の状態
・前面道路は通学路となっている
・土地面積82㎡、建物面積93.65㎡で築年数不明
・境界標が一部不明
解決策
1. 担当者との打ち合わせ
今回の相談者は、当社と何度もお取引きいただいている横浜市内の不動産会社様でした。
現在の代表の方は、先代の代表であるお父様が他界され、会社を相続されました。
もともと先代の代表の方が競売物件で地方の難あり物件を複数購入しており、その1つに今回の売却物件もありました。
ご相談いただいてから担当者を訪問し、面談を実施。
担当者の方が売却を頼める売却物件付近の不動産会社をインターネットでお調べになられましたが、インターネットに掲載されている情報だけでは安心して任せられる不動産会社か判断が出来なかったそうです。
また、売主様がいる横浜市と売却物件のある福岡県糟屋郡宇美町ではかなりの距離があり、維持管理もでてきいない状況でした。
そんな中、当社に売却物件の処分について白羽の矢が立ちました。
担当者の方との打ち合わせでは、建物が今にも倒れてしまいそうとのことをお聞きし、物件に関する書類一式をお預かりしました。
2. 現地調査の実施
担当の方との打ち合わせ後、現地調査の準備をしました。
当社のある横浜から売却物件のある福岡県までは飛行機で移動し、空港からレンタカーを借りて、遠隔地である現地に向かいました。
現地に到着するとそこには風に吹かれて今にも飛んで行ってしまいそうな老朽化した空き家というより廃屋がありました…。
恐る恐る室内に入ると、床は腐っており、べこべこの状態、壁や天井は剥がれ落ちていました…。
また、外回りを確認するとお隣の土地との境界標が一部ありませんでした。
そして、売却物件の状況からもご近所の方を訪問し、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。これから処分に向けて動き出します。何かあれば私までご連絡ください」と言って回ったのでした。
その際に近隣住民の方からは「ここは通学路になっていて小さい子ども達も通ります。万が一、おたくの建物が倒壊し、子ども達が怪我をするようなことがあってはならないので早く解体してください」旨のお話をいただきました。
3. 行政での物件調査
現地調査を終え、町役場などで法令上の制限の調査を行いました。
売却物件は、古い住宅団地のため、各種規制は少なく、建替えなどに際して支障となるようなことはありませんでした。
ただ、町役場では、今回の売却物件が倒壊の恐れがあり、危険性も高いことから「今後、特定空家への指定を検討していたところです」とヒアリングすることができました。
4. 近隣の不動産会社を訪問し情報交換
現地調査、役所調査を終え、周辺の不動産会社をいくつか訪問しました。
その目的は売却物件の情報を周知すること、そして実際の売却物件周辺の市況を把握することでした。
ただ、地元不動産会社の方から聞こえてきたことは、「このエリアで土地の面積が82㎡は狭くて売れない」、「古家の解体費用を考えると売主さんは資金の持ち出しが必要になってしまいますね」というものでした…。
ただ、それでも諦めずにさらに数社を訪問し、情報交換を行ったのです。
5. 売主様との協議・売却活動の実施
横浜に戻り、販売価格について売主様と協議を実施しました。
売主様のご意向としては、売却物件の状況や市況を踏まえると解体費用の持ち出しもやむ無しというものでした。
そして、売主様からは「とにかく処分ができれば良い。あとはリライトさんにお任せします」旨のお話をいただけました。
そして、地元不動産会社から「売れない」と言われた物件の売却活動を開始したのです。
まず行ったこと、現地調査時に訪問した不動産会社にご紹介・情報拡散のお願いをしました。
ただ、その大部分の不動産会社は売却物件の市況と状況から「処理は難しい」、「諦めた方がいい」などという消極的な回答でした。
それでも諦めずに声がけを継続していったのです。
6. 購入意思の確認
「断られても、再度連絡」を繰り返していたところ、地元不動産会社の1社より「あなたがそこまで言うのであれば仕方ないですね、わかりました。当社で買い受けます。ただ、申し訳ないのですが、今後、解体費用や測量費用もかかってしまうため、当社でご提示する金額でお願いすることとなります」旨のお話をいただくことができたのです。
7. 売主様との協議
購入希望者が現れたことを売主様にお伝えすると売主様は大喜びでした。
というのも、売主様は当初解体費用の持ち出しも考えていた中で「古家があるままの状態」でかつ、「測量も買主様負担」、「引渡し後に不足の事態があったとしても全て買主様にて対応する」ということでさらには買主様より「売却代金を受け取れる」ということになったのですから。
売主様の回答は、「すぐにお話を進めてください」というものでした。
8. 持ち回りの契約・引渡し
売却のお話がまとまると私の方で契約書類の作成に取り掛かりました。
そして、その契約書類を予め売主様、買主様にご確認いただき、後日契約日を調整しました。
ただ、売主様は売却物件がある福岡県まで伺うことが出来なかったため、事前に司法書士の先生による本人確認をしていただいたうえで、持ち回り契約で手続きを進めることに。
持ち回り契約とは、売主様と買主様が対面せずにそれぞれ別々に手続きをするという契約方法で、今回はまず売主様に契約書類に署名・押印いただきました。
後日、その書類を持った私が福岡県にある買主様の不動産会社を訪問し、そこで買主様にも契約書類にご署名・押印いただき、無事に契約・引渡し業務を終えることができました。
これで売主様は「遠隔地にある廃屋を所有するということの呪縛」から逃れることができたのです。
買主様との契約後の雑談の中で買主様の担当者の方も私と同様、以前「東急リバブル」という会社に勤務していたことがわかりました。
遠くても、「ご縁」を感じるお取引きとなりました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「泥臭さ」でした。
今回の売却物件は、地元不動産会社も口をそろえて「売れない」と言っていた今にも倒れそうな廃屋でした。
ご紹介を開始した時も売却物件について「売れない」と言われ続け、「買い取ってほしい」とお願いしても「買えない」と断り続けていました。
それでも諦めず、「何とか購入してほしい」や「もう一度検討してほしい」、「どうにか購入してほしい」と泥臭くお願いをしていたところ、最終的にそのうちの1社に有償でお買い求めいただくことができました。
後から考えると、最初に断られた段階で諦めていたら、きっと売れることなく、今でも売りに出している状況だったかもしれません。
売りづらい不動産などの営業をしているとよく断られることがあります。
でも、個人的には最初の「ノー」は挨拶だと思っているので挨拶後の営業が本当の営業で、真剣に取り組めばどんなに難あり物件であろうと最終的に何とかできます。
現に私が今までそうだったのですから。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!