戸建「売れない」と言われた10年以上空き家の別荘を手放したい!(静岡県加茂郡東伊豆町)
ご相談者: | J.Y 様(お電話でのお問い合わせ) 東京都西東京市 |
静岡県東伊豆町に相続で取得した別荘があります。
その別荘は、山の上にあります。
築40年が経過し、10年以上空き家となっており、ところどころ傷んでいます。
さらに建物内の荷物はそのまま残っており、車庫もありません…。
使っていなくても固定資産税、別荘地の管理費がかかってしまい困っています。
このお荷物不動産を子供には残したくないため、複数の不動産会社に「手放すのを手伝ってほしい」とお願いしましたが、軒並み断られてしまい、御社以外に相談するところがありません。
タダでもいい、どうか別荘を手放すお手伝いをしていただけないでしょうか。
状況
・駅からバス便の場所に立地
(バスもほとんどないエリア)
・山奥にある別荘地内に位置
・建物内には家具などが残置されたままの状態となっている
・カースペースがなく、築造するには多額の費用がかかる
・築40年が経過し、10年以上空き家の状態
・土砂災害特別警戒区域内
・使用していなくても毎年固定資産税と別荘地管理費がかかる
※使っていなくても管理費等毎月13,000円がかかる
・複数の不動産会社から「売れない」と言われている
・境界標が不明
・購入するための諸費用が130万円超かかる
※管理会社に多額の名義変更料等
・以前、同一別荘地内の別荘を当社が売却済み
解決策
1. お客様との打ち合わせと資料の受領
当初、お客様よりお電話で不動産の売却をお願いしたい旨のご相談をいただきました。
※以前、テレビで放送された同じ南熱川別荘地の別荘売却を当社が担当したことをご覧いただいてでのお問合せでした
後日、お客様にご来店いただき、面談を実施。
するとお客様が相続された東伊豆町の別荘が上記「状況」に記載の通り、売りづらい物件の要素を複数持った不動産であることが判明しました。
確かに他の不動産会社が「売れない」と言ったことはなんとなく理解はできるものの、当社がご対応しなければ、他の不動産会社では対応できないと思い、お手伝いさせていただくことを決断。
その場でお客様にご用意いただい資料のコピーをお預かりしました。
ただ、お客様は相続で取得されてからというもの現地に行っておらず、鍵すらお持ちではありませんでした。
そのため、お客様にお願いしたことは「まずはご自身の目で現地を確認し、その時に鍵をつくってきてください」というものでした。
2. 現地確認の実施
初回面談から1ヶ月くらい経過した時に売主様より「現地を確認し、鍵の用意もできました。ただ、室内はカビが大量に発生しており、荷物も思った以上に残っていました。どうしましょうか?」旨のご連絡をいただきました。
鍵をお預かりし、荷物はそのまま、カビがあまりにも酷いようであれば、まずはハウスクリーニングでカビを取りましょう、そこまでが売却のための準備です、とお伝えしました。
後日、私の方で現地を確認。
すると…、当然車庫はないのですが、道路から玄関までのアプローチはとにかく傾斜がきつく、雨樋は一部なくなってしまっており、外壁にはキツツキによる穴が複数空いていました。
隣地との境界にあるはずの境界標のいくつかは見当たりませんでした。
建物内に入るとカビ臭く、そのまま住めるくらいの家具が残置されていました。
雨戸を開けようにも戸袋が腐っていて危険な状況。
天井には雨漏りによる水ジミが複数ありました。
隣の土地には今にも倒壊しそうな廃屋があり、その点もウィークポイントとなりました。
一方、2階と浴室から海が遠望でき、よく言うと「海が遠望できる緑に囲まれた東伊豆町の別荘」という感じでした。
3. 役所調査の実施
現地調査を終え、売却物件に対する法令上の制限について役所調査を実施しました。
東伊豆町役場、下田市にある下田土木事務所など。
そこで判明したことが売却物件が「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」内に位置しているということでした。
レッドゾーンにおいては、土石の切盛りや樹木の抜根、建物の新築等土に手を加える行為は基本的に許可制となります。
ただ、レッドゾーン以外については大きな問題となることはありませんでした。
4. 販売活動の実施 多数のお問い合わせ、ところが…
調査を終えて、横浜の会社に戻り、調査結果を売主様に報告。
そこから販売価格の検討にはいったのですが、車庫もなく、残置物撤去に数十万円、リフォームには500万円前後かかってしまいそうなこと、使っていなくても別荘地の管理費が毎月13,000円もかかる売却物件、前回売却できた同じ南熱川別荘地内の別荘(室内状況は今回の売却物件よりも良く、カースペースの築造もできる物件)がなんとか1円で売却できたことも考慮し、今回の売却物件も1円で販売することとなりました。
そして、いざ売却活動を開始すると、「海が遠望できる緑に囲まれた東伊豆町の別荘が1円」と大きな反響を集め、多数のお問合せをいただくことができました。
ところが…お問い合わせはいただくものの、資料をご覧いただけたお客様からは「諸費用を含めた購入金額が高すぎる」(売却物件が1円でも別荘売買の際の管理会社への支払いを含めると総額が130万円超でした)、「ランニングコストが高すぎる」、「多額のリフォーム費用がかかってしまう」等お断りのご返事ばかりで前向きな回答はいただくことができませんでした…。
5. 売却のために
当社から売却物件までは車で片道3時間、簡単に行ける距離でもありませんでした。
そのため、売却活動はインターネットで集客(各種SNSで情報発信)し、月に1度くらいの頻度で現地内覧会を実施。
夏の日も、冬の日も、暑い日も、寒い日、雨の日も合計で8~9回くらい、午前中10時から夕方4時頃までトイレもなく、昼食も我慢し、現地に待機して来場者の方のご対応をしていました。
それでもなかなか購入者は現れず、「日本の別荘が1円で売り出されている」と言う情報が海外にも話題となり、ドイツのテレビ局の方が取材にいらっしゃいました。
6. 購入希望者の購入条件
季節は移り変わり、11月下旬に山梨県にお住まいのお客様よりお問い合わせをいただき、12月の現地内覧会にご来場いただけることに。
そして、小雨が降り、気温も低くなった中での12月の現地内覧会にそのお客様がご来場いただけました。
じっくりと外観、室内をご見学いただき、回答はお持ち帰りいただくことに。
数日後、お客様からいただけた回答は、「前向きに検討しているが、売却物件を購入するためにはイニシャルコストがかかりすぎるのがネックとなっている。そこでお願いですが、130万円以上かかってしまうそのイニシャルコストのうち50万円を売主様にご負担いただけないでしょうか?もし、ご負担いただけるのであれば、現状のままでお引き受けいたします」というものでした。
※売主様は売却代金として1円を受領し、諸費用の一部として50万円買主様に支払うというもの
(売主様が499,999円を持ち出しするというもの)
7. 売主様からの回答と契約準備
購入希望者のご要望をすぐに売主様にお伝えし、ご検討いただきました。
ただ、売主様からの答えは「YES」、「今回の購入希望者の方を逃してしまったら、2度とこういったチャンスがないのではないか。リライトさんがここまで一生懸命何度も動いていただいた結果が、今回の条件であればそれが相場だと思います。今回のお客様で進めてください」というものでした。
そのため、条件が整い、売買契約に向けての準備にはいりました。
売買契約書、重要事項説明書を作成し、売主様、買主様にそれぞれ事前送付し、事前にご確認いただきました。
8. 売買契約の締結とお引渡し
後日、売主様、買主様、司法書士の先生が当社に集合し、売買契約の締結、各種金銭の授受、鍵のお引渡し、所有権の移転を行いました。
定年後の買主様は釣り船宿をするための夢の拠点とし、売主様は売却物件を無事に手放すという願いを叶えることができました。
そして、1円売買、いや、マイナス売買となった今回の案件は、当社としてはボランティア案件となりましたが、みんなが笑顔になった今回の案件、良い縁結びができたぁと実感。
ただもう少し早く売却ができるかと思っていましたが、意外にも当初相談から売却まで11ヶ月とかなり苦戦してしまいました。苦笑
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「市況の変化」でした。
売却物件は、売りづらい管理費のかかる老朽化した車庫なしの別荘。
前回同一別荘地内の別荘を売却した時に比べて、市況的にさらに売りづらくなった印象がしました。
雨にも負けず、風邪にも負けずではありませんが、お引受けいただける方を探すことが本当に大変でした。
手出しをしてでも売却を決断された売主様のご判断は英断と言えるでしょう。
これから少子高齢化が進み、ますます不動産が余っていくと市況の下落が進み、値段がつかず、手放したくても手放せない不動産で溢れかえってしまいます。
売れない不動産にしないためには使わなくなった時点ですぐに次の方に繋げる(売却)が大切。
ボランティア案件となった今回の案件、唯一の救いは売主様と買主様の笑顔でした。
買主様にはぜひ、釣り船宿をするという夢を実現していただいたいですね。
遠くから応援させていただきたいと思います。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!
※今回の売りづらい別荘の売却は、営業の相山が当初より一生懸命動いた結果です