土地施設に入所している母の自宅を売却してほしい!(千葉県松戸市)
ご相談者: | K.S 様(生命保険会社のご紹介) 千葉県柏市 |
私には施設に入っている母がおり、その母が所有している空き家が千葉県松戸市にあります。
空き家にはまだ荷物も残ったままです。
このまま空き家にしておいても物騒なので良い方がいたらお譲りし、その売却資金を施設での生活費にまわしたいと思います。
大変な案件ですがご協力いただけないでしょうか?
状況
・駅から徒歩13分の住宅地内に立地
・古家は55年が経過し、室内は老朽化
・古家内部、敷地内には大量の残置物がある状態
・境界は一部不明
・前面道路上にはゴミ置き場有り
・南側は高さ3mくらいの老朽化した擁壁有り
・所有者に意思能力がなく、売却には家庭裁判所の許可が必要
解決策
1. 不動産所有者(お母様)の意思確認
生命保険会社の方よりお客様をご紹介いただき、後日、お客様とお会いさせていただきました。
当初、お客様とお会いした場所は、お母様が入所されている施設でした。
お客様と紹介者である保険会社の方、それに司法書士の先生と私でお母様のお部屋を伺いました。
司法書士の先生に同席いただいたのは、お母様に不動産を売却するだけの意思能力があるかどうかの確認のためでした。
そして、司法書士の先生がお母様と不動産売却に向けての意思確認を行いました。
…が、司法書士の先生の回答は「この状態では意思能力があるとは言えません。不動産の売却をするためには成年後見制度をご利用いただく必要があります」というものでした。
そのため、最初の打ち合わせはそこで一旦終了となりました。
2. お客様(お子様)との打ち合わせ
司法書士の先生によるお母様の意思確認の数ヶ月、お客様(お子様)より「母の成年後見制度の手続きが完了したので、再度、実家売却に向けて打ち合わせをしたい」旨のご連絡をいただきました。
そこで私の方で査定書類等を準備し、お客様との打ち合わせを実施。
そこで当社に売却活動をお任せいただけることになりました。
3. 売却活動に向けての準備①(測量)
今回はいきなり売却活動を行うのではなく、事前に売却活動に向けての準備を開始。
その1つは土地の境界標が一部見当たらないところあったため、その部分の境界標の設置含む土地の測量作業でした。
地元土地家屋調査士事務所に見積もりを依頼し、売主様にご確認いただいてから実際に業務を依頼。
売主様がお仕事で境界立会いに行けなかった際には私が菓子折りを持ってご近所さんにご挨拶。
無事に境界確定・測量完了。
ただ、ここで問題が1つ発覚。
売却物件南側にある老朽化した石積み擁壁の底盤が隣地に越境していた!?
そこで隣地所有者の方と「石積み擁壁の築造替えの際には越境物の是正を行い、それまでは現状の越境状態を是認する」旨の合意書(第三者承継文言記載有り)を締結し、事なきを得ました。
なお、境界立会いの際にはご近所さんより「Sさんはここから離れてしまうのですか、とてもお世話になったので寂しい。よろしくお伝えください」旨のお話を複数いただき、売主様とご近所さんたちの関係が良好だったことが改めてよくわかりました。
4. 売却活動に向けての準備②(残置物の撤去)
測量を終え、次の作業は古家内部、敷地内に残置された大量の家具やゴミ等の撤去でした。
こちらもお忙しい売主様に代わり、当社が残置物撤去の見積もりの取得と撤去時立会いを行いました。
そして、お客様に現地をご見学いただける準備が整いました。
5. 販売価格の打ち合わせと売却活動の開始
売却活動前に再度売主様と打ち合わせをし、販売価格や条件についての打ち合わせをしました。
そしていざ売却活動の開始。
当初はチャレンジ価格で販売を開始、ただ徐々に各アクセス数・お問い合わせ件数が減少傾向に転じていきました。
お問い合わせいただいたお客様からは「南側の石積み擁壁の築造替えには多額の費用がかかってしまう」や「ゴミ置き場が目の前にある物件は避けたい」などというご意見いただきました。
6. 買いやすい状況づくり
ご検討いただいたお客様の懸念点は「南側の老朽化した石積み擁壁の築造替えの費用」(擁壁の築造替えをすると多額の工事費用要)だったことが明白だったため、知り合いの建築士の方に依頼し、南側の老朽化した石積み擁壁の築造替えをせずに建築する建物の参考プランと見積もりを準備しました。
つまりこれがあれば、石積み擁壁の築造替えをしなくてもこのくらいの広さの建物がいくらで建築できます、と視覚的にご覧いただくことできるからです。
これが「買いやすい状況づくり」です。
7. 購入申込書の取得と売買契約、裁判所の許可、引渡し
お問い合わせ件数を慎重にリサーチしながら、販売価格を徐々に変更していきました。
そして、売却開始から6ヶ月で無事に埼玉県にお住まいのとっても素敵な買主様より購入申込書をいただくことができました。
そして、いつも通り、買主様の融資の事前審査承認取得後、売買契約書・重要事項説明書の作成。
それらを事前に売主様、買主様にご確認いただき、後日、売買契約の締結。
ご契約後は、売主様が家庭裁判所に居住用不動産の売却許可申請をし、その許可が取得できたところで再度、売主様、買主様、司法書士の先生と集合し、残代金の授受、所有権移転登記等一切の手続きを完了しました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「買いやすい状況づくり」でした。
不動産の売却はいつでも同じ状況で売れるかというとそうではありません。
測量は買主様が決まってから引渡し前にするということだってありますし、残置物についても同様です。
ただ、よく考えてみてください。
もし、自分が不動産を買う時に「測量が終わっていて境界がはっきりしている物件」と「契約時点では境界が曖昧だけど引渡しまでにはっきりさせますという物件」がどちらを買いますか?
私だったら前者です。
前者の方が「買いやすい」ですよね。
そう考えると売却物件はそのまま売却活動に出すというのも1つの方法かもしれませんが、実は何かしら手を加えたり、準備したりすることで「買いやすい状況づくり」ができる場合だってあるかもしれませんね。
売却活動には何かしらのエッセンスを。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!