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土地過去に隣地と揉めていた雑木林(急傾斜地)を手放したい(神奈川県鎌倉市)

ご相談者:M.K 様
神奈川県相模原市

 高齢の母が鎌倉市西御門というところに崖地を所有しています。
その崖地は、車も入らず、急傾斜地となっているため、使い道がありません。
さらにその崖地には大きな大木が何本もあり台風の時に倒れて周りに迷惑をかけるのではないか、ゲリラ豪雨の時に崖崩れを起こすのではないかと不安です。
そういった土地のため、タダでもいいから手放したい、そのためのお手伝いをしていただくことは可能でしょうか?

状況

過去に隣地と揉めていた雑木林(急傾斜地)を手放したい(神奈川県鎌倉市) 状況
【所在】神奈川県鎌倉市西御門1丁目
・駅からバス便エリアに立地
・建築基準法で定める道路に接道していないため、
 許可を取得しなければ建物の建築不可
・目の前は幅1mくらいの路地(階段)
・過去に隣地と境界・越境について揉めた履歴あり
・法務局備付けの公図と現況が相違(公図混乱地区)しており、
 境界が曖昧
・周辺の通路は第三者所有のため、通行には通路所有者の
 承諾が必要(承諾書未取得)
・人も転げ落ちそうな急傾斜地となっており、全てが
 土砂災害計画域となっている。
 ※土地の過半が土砂災害特別警戒区域に指定されている。
・埋蔵文化財包蔵地内にある。
・現地は雑木林で倒れたら周囲に甚大な影響を与えるであろう
 大きな樹木が複数ある。

解決策

1. お客様からのお問い合わせ、面談

 昨年5月にお客様よりお電話で「高齢の母が所有している鎌倉の崖地がある。その土地は色々と問題を抱えており、他の不動産会社にも相談しましたが、『売れない』と言われてしまいました・・・。倒木や崖崩れで周りの方に迷惑をかけないか不安で仕方がありません。タダでもいいので、手放したい!リライトさんのほうで何とかご対応いただけないでしょうか」旨のご相談をいただきました。
 そのため、お客様に一度ご来店いただき、面談を実施。
面談時にお客様からお聞きしたのは売却希望物件につき、過去に隣地と境界・越境について揉めていた経緯があったことと公図と現況が異なり境界が曖昧ということでした。
面談においてお客様が本当にお困りということが理解できたため、当社がお手伝いさせていただくことにしました。

2. いざ、現地へ 転がり落ちそうなほどの急傾斜

 お客様との面談後、現地に向かいました。
現地に到着すると思った以上の急傾斜地で愕然としました…。
落ちたら重傷を負いそうな傾斜地を這うようにしてのぼり境界標を探すも一部を除き見つからず…、確かに崖崩れや大木の倒木の不安な気持ちは相当なものだと理解できました。

3. 役所調査で知る厳しさ

 現地確認の後は、鎌倉市役所や横須賀土木事務所等で調査を実施。
すると…土地全てが土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されており、大半が土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていることが判明。
さらに風致地区や埋蔵文化財包蔵地内であること、そして、目の前の通路(階段)が建築基準法で定める道路ではないことが判明しました。
つまり、建物が建てられないうえに何かしらの工事をしようものなら文化財保護法の届出等や土砂災害防止法の許可等が必要。
こ、これは土地としてかなり厳しいと実感しました。

4. 隣地への購入アプローチ

 役所調査も終え、売却活動の準備に取り掛かりました。
ただ、傾斜がきつくて使いようもない、普通に売れるわけもない今回の傾斜地。
黙っていても埒が明かない、そう思いまずはお隣さんに「タダでもいいから土地をお引受けいただけないか。よろしくお願いいたします。」とお願いのアプローチ。
お隣さんは当初、前向き様子でしたが後日ご連絡いただいた回答は「うちでは隣の傾斜地を引き受けられません。」というものでした。
その理由をお聞きしたところ、「万が一、大木が倒れたり、崖崩れが起きて、周りに損害を与えてしまったら、所有者責任が問われてしまう。そう考えると怖くて引き受けられません」というものでした。

5. 売却活動の開始、市場に情報公開

 お隣さんから「NO」という答えをいただいてから、当社のスタッフ 中川と協力し、幅広く売却物件の情報を公開していきました。
物件が物件だったため、販売価格は1円でスタート。
古都「鎌倉」とは言え、今回の傾斜地は問い合わせが少なく、苦戦を強いられました。
それでもあきらめずに販売活動を継続した結果、なんと、当社にて2組の買主様同時にお探しすることに成功!

6. 契約前に悲しい出来事

 2組のお客様よりお申込みをいただき、どちらの方にお譲りいただけるかご検討いただいていた矢先、とても悲しい出来事がありました。
それは、ご高齢の売主様が志半ばでお亡くなりになってしまいました…。
私の心の中は「もう少しだったのに、申し訳なかった」という気持ちでいっぱいでした。
ただ、相続人であるお子様は引き続き今回の傾斜地を手放したいとのご意向だったため、相続登記が完了するまでは一度、売却活動を中止しました。

7. 相続登記後の売買契約の締結

 売主様が他界されてしまい、悲しみの中、お子様は相続手続きを開始、相続人同士の仲が良かったこともあり、相続登記自体は比較的早く完了。
 それから仕切り直しをし、売主様が選ばれた方の購入希望者の方と契約に向けての打ち合わせ。
事前に売買契約書、重要事項説明書をご確認いただき、そして迎えたご契約当日。
 中川が重要事項説明書と売買契約書のご説明や一連の手続きを行い、何事もなく無事にご契約・お引渡しともに完了しました。
売主様と買主様は終始和やかなムードで趣味のお話などで盛り上がっていました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは「売却に動き出す時期」でした。
 
 不動産の売却のタイミングで多いのが、お子様に「難あり不動産を相続させたくない」という一種の終活の時、難あり不動産の場合は、難があるだけに簡単には売れません。
時間もかかります。
過去には3年以上1円で売り続けたこともありました。
それだけ売るのは大変なんですね。
今回の案件については、そこまで時間はかかっていないものの、以前の売主様であるお母様のご存命中に売却するという願いを叶えることができませんでした…。
もう少し、あと少し時間があればとただただ悔やまれます。

 時間は無限ではありませんし、自分にいつ、万が一のことが起こるかは誰もわかりません。
そういったことを考慮し、難あり不動産をいつ手放せばよいのか、いつから売却活動を始めたらいいのか、ここが悩みどころかもしれません。
でも、答えは簡単、難あり不動産を手放すための動きは「早ければ早いに越したことはない」からです。

ご契約時に売主様であるお子様と買主様が楽しそうに談笑されている姿を天国のお母様も暖かく見守ってくれていたに違いありません。

関係者の皆様、本当にありがとうございました。
そして、中川さん、難しい土地でしたが無事に買主様をお探しできましたね。
ありがとうございました!お疲れ様でした!