土地物納が得か、売却が得か?(東京都板橋区)
ご相談者: | N.K 様(税理士法人のご紹介) 東京都板橋区 |
当社(税理士法人 様)のお客様に相続が発生し、
多額の相続税納付の必要があります。
物納が得か、売却が得かを精査し、相続税納付をしたいと
考えています。
全般的に御社にてお手伝いいただけないでしょうか?
状況
・樹木が越境
・現況、無償にて区に使用貸借している
・一部は平地だか、ほとんどの部分が
高低差のある崖地
・相続税は延滞税も高いため、早期に
売却したい
解決策
1. 物件調査とお客様との面談・詳細の打ち合わせ
税理士事務所 様よりご相談をいただき、すぐに物件の調査。
そして、税理士事務所のご担当者同席のもと、お客様と面談を
実施しました。
税理士の先生の試算では、多額の相続税が発生してしまうため、
お客様は早期によい条件にて売却したいというご意向でした。
ただ、相続物件は相続税評価額が高かったため、まずは
税理士の先生に物納する場合はいくらで物納が可能か、また
売却する場合は譲渡所得税も考慮し、いくら以上で売却でき
れば、物納より売却が売主様にとってメリットが大きいかを
試算していただきました。
2. 確定測量の実施
今回の物件(土地)は、規模が大きいため、購入希望者より
高低測量及び確定測量(官民と民民の境界を確定させる測量)の
依頼があることが想定されたため、予め売主様指定の土地家屋
調査士の先生で各種図面の作成、境界立会作業を行って
いただきました。(いつでも売却できる状態をつくりました)
3. 簡易入札方式による売却・購入者の決定
今回、物納ではなく、売却するためには、一定金額以上での
売却が必須となりました。
そのため、その最低金額以上での簡易入札方式により
購入希望者を募集しました。
地元不動産会社、大手不動産会社、銀行系不動産会社など
多岐にわたりご紹介を実施。
最終的に老舗不動産会社とのコラボレーションで購入希望者を
決定しました。
(購入希望者は傾斜地に建物を建てることを得意とする
デベロッパーでした)
※ほとんどの購入希望者は物件が崖地となっていることで
物納より売却の方がメリットある金額まで到達できません
でした
4. 売却物件の追加
購入希望者が決定し、税理士の先生、売主様と
打ち合わせをしていた際にもう1件、売主様がご所有
されているご自宅脇の崖地についても物納金額以上で
購入できるかどうかを購入希望者に検討いただきました。
最終的にご自宅脇の崖地についても譲渡所得税を
考慮した上でも売主様にとって物納よりメリットがある
金額で売却いただけるかたちになりました。
5. 売買契約の締結とゴミ置場の移設
諸条件がまとまったところで売買契約の締結。
購入希望法人より購入条件としてゴミ置場移設についての
協力が条件だったため、行政及び近隣住民の方と協議を
しました。
結果、近隣住民の方よりゴミ置場の移設につき、快諾
いただけたため、稀にみるスピードでゴミ置場の移設を
することができました。
6. 公園での使用解除
当初より売却のご意向があった土地は、売主様の先代より
ご厚意で行政に無償で使用貸借していた土地でした。
現況は、公園として近隣住民の方にご使用されておりましたが、
相続税納付のため、やむを得ず、行政との使用貸借契約を解除し、
遊具の撤去、樹木の伐採等を行いました。
7. 越境部分の合意書の取得
ご契約締結後、隣接地の建物の屋根等とブロック塀が
売買物件に越境していることが発覚。
売主様と一緒に当該越境部分所有者の方を訪問し、
「将来、建物を建替えるときに越境部分を是正してほしい」旨の
合意書の締結をしました。
8. 一部抵当権の抹消・相続税の抵当権の設定
売買物件は2か所の合計4筆でした。
そのうち1筆について、金融機関の抵当権が設定されて
いたため、売主様と金融機関と私で協議をし、当該抵当権の
事前抹消手続きを行いました。
ただ、その他の3筆の土地について、財務省を抵当権者と
する相続税の抵当権が設定されました。
9. 相続税抹消のための確認
財務省を権利者とする抵当権は、嘱託登記となり、
土地の残代金時に相続税を完納しても当日に抵当権の抹消
登記の申請はできません。
そのため、まず残代金時に相続税を完納するために
いくら納税するのかを税務署の職員、税理士の先生、
司法書士の先生、買主法人様、当社が税務署に集まり
確認をしました。
そして、後日、最終的なお引渡しに向けて、売主様を
訪問し、お引渡しの明細をお渡しし、詳細の打ち合わせを
させていただきました。
10. 残代金・引渡しと税務署への報告
午前中より売主様、買主法人様、司法書士の先生、
買主様が仲介会社、当社で金融機関に集合し、その場で
予め打ち合わせをさせていただいた通り、残代金の授受と
確定測量図の交付、相続税の納税を行いました。
そして、売主様、買主法人様、司法書士の先生、
私でそのまま相続税についての管轄税務署に行き、
相続税の納付書の原本を提示し、無事に残代金・
お引渡しを終えることができました。
※相続税(財務省)の抵当権の抹消については、
納付書を税務署にお持ちすることにより、抵当権の
抹消時期を前倒しすることができます
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「物納か売却か」
でした。
物納が得か、売却が得かは実際に物納金額の
試算をし、購入希望者を探してみないとわかりません。
最終的には売却というかたちになりましたが、
これは試算した上での売却かどうかが重要な点です。
今回は、税理士の先生の専門分野が資産税だったため、
速やかに税金の試算をしていただくことができ、私の
ほうで迅速に動けたことで「売主様にとってメリットある
金額での売却」をしていただくことができました。
売却に関しても簡易入札をとったことにより
購入希望者を競争させ、良い条件を導き出せた
ことも大きかった点です。
途中、本当にいろいろなことがありましたが、
誠心誠意ご対応させていただくことで課題を次々
クリアすることができました。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。