戸建静岡県下田市の住まなくなった実家(空家)を手放したい!(静岡県下田市)
ご相談者: | 大手ハウスメーカー 様 神奈川県厚木市 |
弊社(大手ハウスメーカー 様)にお問い合わせいただいた
お客様で静岡県下田市に住まなくなった実家を手放したいという
お客様がおります。
弊社のグループ会社の不動産部門では、地域的に対応が難しいため、
代わりに御社のほうで売却をお願いできないでしょうか。
状況
・土地のうち1筆が売主様と弟さんとで共有状態
・津波浸水想定エリア内
・建物に一部雨漏りがある
・母屋の他に古くからある店舗と蔵がある
・過去にシロアリの被害があった
・残置物が残っている状態
・隣地の水道管が物件敷地内を通過している可能性有り
・土地、建物ともに広く毎年、高額な固定資産税、
庭木の手入れ代がかかっている
・売主様が消費者契約法上の事業者
解決策
1. お客様との打ち合わせ
ご紹介者同席のもと、お客様と面談をしました。
売主様のご希望金額や物件に対しての思い入れ、買主様に
求めるもの等ご意向を伺いました。
そして、売却をするにあたって、売主様にしていただくこと、
私がすべきことを取り決めしました。
いろいろお話をさせていただいた結果、正式に当社に
売却活動のご依頼をいただくことができました。
2. 現地での物件調査
売却のご依頼をいただき、すぐに現地調査の実施。
当初現地に行くと境界標が一部不明であったり、建物の
一部にひび割れや雨漏りが見られました。
それでも和風で高級旅館風の建物は築年数では
評価できない素晴らしいものでした。
また、敷地内には母屋の他に店舗部分と蔵もありました。
3. 行政での物件調査
現地の後に市役所等で詳細を調査しました。
すると、津波浸水想定エリア内であることが判明。
地元の不動産会社の方とお話をしても、確かに物件周辺は
全体的に津波浸水想定エリア内のため、需要が少ないという
お話をお聞きしました。
それ以外はもともと区画整理された土地ということもあり、
物件的な問題は特にありませんでした。
4. 売主様への報告・販売活動の開始
現地及び行政での調査結果を売主様に報告をし、査定金額を
お伝えさせていただきました。
実際、今回の物件周辺では取引事例が非常に少なく、査定書を
作成するのに苦労しました。
そして、査定金額は査定金額として、売主様と販売開始価格の
打ち合わせを実施。
打ち合わせ通りの販売価格にてすぐに売却活動を開始しました。
ただ、土地が広く、建物が立派であり、売主様の思い入れも
あり、当初はチャレンジ価格にて販売。
数ヶ月様子をみて(各不動産検索サイトのアクセス数など)、
少しずつ販売価格変更していきました。
地域柄なのか、地元不動産会社からのお問い合わせは最後まで
ほとんどありませんでした…。
5. 購入希望者の方との各種協議と売買契約
そんな中、インターネットよりお問い合わせをいただき、
そのお客様に何度も現地をご見学いただきました。
途中、売主様に土地の1筆が共有状態だったものを共有物の分割という
かたちをとり、権利関係も問題がない状態にしていただきました。
同時に土地の全ての境界標も設置していただきました。
最終的に諸条件の協議はあったものの、ご契約に向けて
進めていただけるというお話をいただくことができました。
その際の協議事項としては、売主様が消費者契約法上の事業者で
買主様が消費者だったため、築年数の古い店舗部分や蔵などの欠陥
(不具合)をどうするかということでした。
瑕疵担保責任を売主様が負わないようにする(瑕疵担保責任免責と
いいます)特約を追加すると消費者契約法に抵触し、特約が無効と
なってしまいます。
それでも、弁護士の先生とも打ち合わせをした結果、店舗部分と蔵について
瑕疵担保責任免責にて売却することができました。
ただ、母屋については、過去にシロアリが発生したことがあったため、
瑕疵担保責任のことも考慮し、契約前に売主様にシロアリ調査を実施して
いただき、その調査報告書を買主様に事前に確認していただくことで
ご契約いただきました。
6. 水道管の承諾書の取得及び残置物の撤去・お引渡し
ご契約後は、お隣の方の水道管が物件敷地内を通過している
可能性があったため、売主様よりお隣さんに「将来、建替えをするときには
是正する」旨の合意書を締結していただきました。
また、建物内に残置物が複数あったため、その撤去をし、
無事にお引渡しを迎えることができました。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは、「不動産と想いの継承」でした。
買主様より当初お問い合わせいただいてから、ご契約までの
間に6回くらい現地をご見学いただきました。
ご契約前に現地で売主様、買主様がご契約に向けてご挨拶を
された結果、売主様からは「この方であれば安心してお譲りできる」、
買主様からは「ぜひ、この方から大切な不動産をお譲りいただきたい」という
お話をいただきました。
買主様は何十件という物件の中から今回の物件、売主様を
お選びされました。
きっと物件または売主様とのどちらか一方でも相性が合わなかったら
今回のご契約には至っていなかったと思います。
本当にご縁ですね。
お引渡しの際に買主様は売主様に「想い出のつまった不動産、
大切に使わせていただきます。下田に来る際にはぜひ、遊びに来て
ください」と。
売主様は買主様に「ぜひ、ご挨拶に伺います。楽しみにしています。」と。
本当に良いお取引きをさせていただきました。
横浜の事務所から何度も下田市の物件まで行き、時にはわさび丼を
食べたり、雨に降られたり、下田市の人の優しさにも触れ、私自身、とても
いい経験をさせていただきました。
そして、「物件の価格は築年数では決まらない。どれだけ大切に使っているかで決まる」。
もう1つ、地元の不動産会社が本当に物件を売却していただけるかどうかは
わかりません。
私が思うこと、それは「地元に頼らなくても売却する力」をもっと
身につけていきたいと。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。